今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！｜リアクション

今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！

急：「キングゴミ怪獣、腕が鳴るよ！」「でもゴキブリは無理アルよね……」
（ｂｙサキリ・デイジーカッター＆畑中華菜子）

「「きゃああああ！？」」
　突如現れたゴキブリの群れに悲鳴を挙げる羽生碧南と畑中華菜子。そんな２人を庇うように立ちはだかった薄野五月が、無表情かつ無心に雑巾でそれを叩き落とす。
（あえて呼びましょう、『Ｇ』と。お店的に天敵です！　あの肉厚ぶりは怖い……。飛び掛ってこないで頂きたい是非に）
「ったく、家が飲食店の奴もいるんだっ、散れオラァア！」
　べしべしと叩けば霧散していく幻影。如月庚もまた箒を気合と共にぶん回し、幻を消していく。その速やかな動きには悲鳴を挙げていた碧南も平常心を取り戻す。
「凄い……」
「いえ、たいした事はありませ……ん？」
　碧南の言葉に振り返った五月だが、華菜子は見事に気絶していた。それでも汚れた床に倒れなかったのは咄嗟に抱きとめた碧南のお陰である。
「とりあえず、羽生。畑中を頼む」
「わかった！」
　庚の言葉に碧南は真剣な顔で頷いた。
　ふと、そこで彼女は固まったままの深縹露草を見た。彼もゴキブリが苦手だったのだろうか、と心配していると……露草の顔から表情が消えた。
「そういえば昔、中学の同級生にからかわ……れ……」
「え？」
　その次の瞬間、露草から冷気が漂ったような気がした。下手に触るとまずいパターンだと読んだ碧南は、竹箒をもって走っていく露草の背中を見送るのだった。
　ホコリヒツジが怯んだ女子目掛けていくものの、エヴァ・ブランシェと桜庭円が其々持っていた消臭剤入りスプレーやら重曹入りスプレーで濡らし、長柄の掃除用具で押しつぶしていく。
「ほらほら、いっちゃうよ～！」
「ホコリ退治は任せなさいっ！　はあああっ！！」
「こっちもやっつけちゃうよ！」
　恵御納夏朝は五月から水入りペットボトルをもらい、それを使ってホコリヒツジを弱体化させる。彼女たちのお陰でホコリヒツジがキングゴミ怪獣と戦っている面々に付きまとう事はなくなるだろう。
（あれ……？）
　夏朝はそこで気がついた。この場所の奥に、久保田美和と中野空也が並んで捕らえられている。二人とも気を失っているのか、身動き１つしない。だが、直感的にキングゴミ怪獣が倒されない限りそこへは行けない気がした。
（……戦いに巻き込ませるよりはいいかもしれないけど、助けたいな）
　夏朝は目の前で繰り広げられる戦いに息を飲みながらも、じれったい思いをするのであった。

　多くの人を震え上がらせるゴキブリの幻影に臆せず進む者が２人。サキリ・デイジーカッターと御剣刀である。サキリがろっこん『斬空舞踏』を使い、アクロバティックな動きを見せる。刃物を使うように小箒を操っての攻撃は敵を怯ませるのに丁度良かった。
（これもしかして中に久保田先生が飲み込まれて入っているんじゃなないだろうか？）
　ふと思うものの、小箒から伝わる感触では全く解らない。
「ゴキブリが何だ！　倒すまでだ！！」
　刀がゴミ袋にゴミを詰め込んでハンマーを作り、思いっきりぶんまわす。鈍い音を立てて横顔に当たれば、キングゴミ怪獣は悔しさから大きなゴミの塊を吐き出した。
　サキリと刀が避け、八神修がどこからともなく持ってきた掃除機のスイッチを入れる。これで体積を減らす作戦だ。
「こう言った敵は弱体化を狙わないと！」
　唸る掃除機が細かいゴミから吸っていく。キングゴミ怪獣が身悶えていると、おもいっきりのよい一撃が顔面に決まっていた。