今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！｜リアクション

今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！

　ホコリヒツジの群れをエヴァたちに任せ、先を進んだ者たちはゴミ怪獣と出くわしていた。ぽんぽんとゴミの塊を口から吐き出しながら迫る光景は、ある意味不気味である。だが、ここでも彼らは怯まなかった。
「散れやぁっ！」
　オラッ！　という掛け声と共に箒でゴミ怪獣をひっぱたく如月庚。その攻撃により顔半分がぼろり、と崩れゴミと化す。それでも動きを辞めないゴミ怪獣に対し額の傷を一撫でし、青白く輝く右手……で握った箒でぶん殴る。彼のろっこん『青にして蒼穹』によって強化された一撃は、ゴミ怪獣を完全に分解させた。流石に岩をも砕くらしい拳は伊達ではない（今回は箒だが）。
「やあっ！」
　碧南がそれに続けとばかりに進撃。吐かれたゴミの塊をバスケットで培った敏捷力で避けてはインファイト。トングで滅多打ちにしていく。あとから「やりすぎちゃったかな……」と思ってしまうほどの連打は見ていたゴミ怪獣を怯ませるほどである。
「なかなかやるねっ」
　そう言うのは、アクロバティックな動きでゴミ怪獣を翻弄し、小箒二刀流でさばくサキリ・デイジーカッター。彼が見せる一撃でゴミ怪獣の群れがあっという間に弱っていく。彼と連携して進路方向にいるゴミ怪獣を倒していくのは深縹露草。彼は箒を巧みに使って打ち倒し、血路を開いていく。
「どんどん行きまショー！　この先にBOSSがいるはずデース！」
　古き良き時代のオカンスタイルで箒を振り回し、次々にゴミ怪獣を打ち倒す露草。その光景はどうかんがえても『暴漢を打ちのめすオカン』にしか見えないあたりが、本人はいたって真面目である。
　そんな彼の進路をふさごうと、桃色のマフラーが襲い掛かった！
「任せて！」
　露草を庇うように恵御納夏朝が飛び出し、マフラーを引っ掴む。そして、おもむろに洗濯ネットへと押し込んだ！
「ありがとデース！　私はこのまま突き進みマース！！」
「洗濯物は任せてよ。ネットに押し込んで見せるから！」
　夏朝は次々に襲い掛かる洗濯物をネットへと押し込んでいく。しかも上手に分別しつつ、である。テキパキとしたその動きに見とれる時間がないのが惜しい。
　その中に可愛いデザインの下着があったりしたがそれをうっかり目撃してしまった庚と御剣刀はというと……。
（気まずいなぁ、オイ……）
（ここは喜ぶべきか？　……ないわぁ～）
　と内心醒めた様子である。刀は洗濯機を探しつつも誘導できないかとわざと油断したフリをしてひきつけ、走り出す。夏朝がたくさん洗濯ネットを持ってきているとは言え、限界もあるだろう。油断は出来ない。
「くっ、洗濯機はどこだ！」
　刀がそう叫ぶが、襲い掛かってくるゴミ怪獣の声に阻まれて届かない。刀を援護しようとサキリが躍り出、小箒が虚空を乱舞。その後には崩れていくゴミ怪獣の姿が……。
「まだまだぁっ！」
　八神修もまた、果敢に立ち向かう。洗濯物おばけ対策として洗濯籠を被り、ポリバケツの蓋を盾、箒を剣にしゴミ怪獣と渡り合っている姿は騎士にも見えなくもない。そうしながらも、彼は洗濯機を探していた。
「円ちゃんと華菜子ちゃんも洗濯機を探しているけど、大丈夫かなぁ」
　トングで敵を打ちのめしながらも、碧南が不安げに呟く。修は「洗濯機さえわかればそこに誘導できるんだがな……」と苦虫を噛み潰すような顔で相槌を打つ。
「合わせられるか？」
「勿論」
「露払いなら任せて」
　刀の問いに頷けば、サキリも加わる。彼はウインク１つでろっこん『斬空舞踏』を使用し一足先に進むと、次々にゴミ怪獣へと攻撃を食らわせていく。それに合わせて刀と修もまた己の武器を振るっていった。
（ろっこんを使っても大丈夫なのか……？）
　修はサキリと庚がろっこんを使う様子を見、敵の強化などが見て取れない所からそう判断する。だが、油断は出来ない、と彼自身はろっこんの使用を見合わせた。
　一方、露草と庚は進路を作っていく。露草が進路上にいる物を倒せば庚がサイドからくる敵をろっこんを発動させた手に握られ、青白く輝く箒でゴミ怪獣をしばいていく。
「このまま突破しマース！」
「打ち漏らしは任せろ」
　勢いよく突き進む２人に、洗濯物おばけが襲い掛かる。それを払おうと其々の武器を使おうとしたがそれよりも早く華菜子の声がした。