今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！｜リアクション

今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！

序：「……ここ何処デースか！？」「久保田先生の家だった筈」
　　ｂｙ深縹露草＆恵御納夏朝

　ゴミに囲まれた空間に、１１人もの若者たちが佇んでいた。だが、大方は何が起こったのか理解していた。そして『もれいび』たちの心は１つになっていた。

　――また神魂かっ！

（いや、今回は久保田先生かよ……。それにしても酷いありさまだな……）
　頭を抱えた御剣刀だが、その装備に抜かりはない。元々掃除をするために久保田美和先生の家へと向かっていたのだから。マスクとゴム手袋は既に装着済み。手には雑巾と掃除用洗剤が握られている。それだけではなく丈夫な１２０リットルも入る大きなゴミ袋も所持している。しかも大量に。
「コレぐらい用意しないとな」
「そのビニール……、大きいわね。しかも大量……確かに必要よね」
　そんな刀の傍らにいたのはエヴァ・ブランシェ。彼女は深いため息を吐いていた。刀や彼女の他、数名は前回の大掃除の際手伝っている。だが……それから半年でまた元に戻っていたようだ。マスクのゴーグルをいそいそ装着し、二丁の消臭剤入り霧吹きとハンドワイパー（ドライシート装着済み）を手に大きなため息を吐く。
「この前学校の皆で大掃除したっていうのに、またゴミ屋敷に戻ったのね……」
　彼女はぐっ、と拳を握り締め、天を仰いで覚悟を決める！
「ダンジョンだろうと何だろうと構わないわ！　ささっと片付けて、今度は先生にキッチリお灸を据えてやる！！」
　なんか物凄く燃え上がっているように見えるのは、気のせいだろうか？　ともかく、やる気がある事には変わりないだろう。
　彼女と同じく美和のクラスに所属する薄野五月、如月庚、恵御納夏朝、サキリ・デイジーカッター、畑中華菜子もまた、深くため息を吐いていた。特に前回の掃除に参加した者はある種のショックを覚えていた。
「この前掃除してちったぁマシんなったと思ったら……。あの人マジに結婚出来んのか……ってなんだこりゃ？　テオの話は一応聞いたが……」
「大変な事になってるアル！　みんなで一緒にお掃除して助けるアル！！」
　マスクを装着し、箒とちりとり、洗剤スプレーを確認して肩を竦める庚の傍らで、華菜子がぐっ、と手を握り締める。そんな彼女も三角巾、ゴーグル、マスクを装着しては普段のチャイナドレスの上に割烹着を纏い、足にはモップ付きスリッパを履いている。もちろん箒と雑巾も忘れてはいない。
「皆と協力して頑張りたいアル」
「そうですねぇ。先生の部屋がダンジョンになるとは驚きです。ふっふ……まさに大掃除、という奴ですね。遣り甲斐がありますよー」
　華菜子の言葉に、三角巾を締めながら五月が眼鏡を正して相槌を打つ。エプロンとマスクもびしっと装着し、雑巾とバケツも持参しているほど。
「確かにそうだね。がんばろう！」
　五月と共に頷いたのはサキリ。こちらも三角巾をびしっ、と締めエプロンとマスクもしっかり装着。「RPGで例えるなら僕は前衛を担当するよ」と小箒２本を握り締めて身構える。
「久保田先生にはお世話になってるし、中野先生には、その……迷惑かけた事も、あるから……、ここで頑張らないと」
　サキリの傍らにいた夏朝もなにやら厳しい表情で頷いている。まぁ、とある事件で中野空也先生が巻き込まれた事に対し、責任を感じているらしい。そんな彼女はマスクと手袋を装着しつつはたきと箒と雑巾、「洗濯に使えるかな」と準備した洗濯用ネットを確認していた。

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