今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！｜リアクション

今年の汚れは今年のうちに？　久保田家ダンジョンの怪！

破：「タチの悪ぃもんにタチの悪ぃ事象が重なっちまったな」
　　「でも、テオさんが仰るように大掃除すればええんですねー」
（ｂｙ如月庚＆薄野五月）

　早速進んで行くと、ゲームでおなじみっぽいダンジョンと化している様子がありありとわかった。しかもさっそくホコリヒツジがお出迎え。
「何これ！？　一体どういう事なの？」
「とりあえず今は戦え。それだけだ」
　羽生碧南が唖然としている傍らで、八神修が真面目に答える。『ひと』であるが故にテオの声を聞いていない碧南は、普通に作業しようとトング片手にこの場にいた。だが、次の瞬間にはアスリートとしての第六感が発動し、コートに立ったときの如く臨戦態勢に入っていた。
（そうよね……。ここは、戦場なのよ！）
　碧南が身構えると、薄野五月が眼鏡を掛けなおしながらホコリヒツジを観察。彼女は「ここは水とか持ってる人に任せて」と言うと、碧南は１つ頷き先へと進む。それを阻もうとしたホコリヒツジに対し、五月は行動を開始していた。
「美和ちゃん先生の家をみんなで掃除する機会をくださり、ありがとうございます」
　両手を合わせ感謝の言葉を口にしたとたん、彼女のろっこん『天分水』が発動し、水の自動販売機が出現する。そこから水の入ったペットボトルを取り出し、片っ端からホコリヒツジにかけていく。すると、ホコリヒツジは音もなく縮んでいった。
「水には弱いようですね。床は戦いが終わったら雑巾で拭いておきましょうか。ピカピカになって下さいませー」
　五月はそう言いながら次々にホコリヒツジへと水を掛けていく。しぼんだホコリヒツジは動けずただもがくだけ。……これはこれで妙にシュールな光景である。
「視界を遮られたらたまったものじゃないわ。大きさ的にちょっと固めるのは難しそうだけど……やるしかないわね」
　そう言いながらも２丁の霧吹きでホコリヒツジを湿らせるエヴァ・ブランシェ。舞い散らせない為の対策である。消臭剤入りの霧を浴びて、ホコリヒツジはしゅしゅん、と収縮して固まる。そこを好機と見たエヴァが手早くドライシートを付けたハンドワイパーでふきあげた。もちろん、ドライシートは予備もちゃんと持ってきている。そこの辺り抜かりはない。だが、本物のヒツジ並の大きさもあるのでちょっと苦労した。
（それでも、舞い散らせて余計に面倒にさせるよりはマシなはず！）
　エヴァがハンドワイパーを駆使してホコリヒツジを固め、五月は五月で水を使ってしぼませていく。息の合った動きでホコリヒツジは数を減らしていった。

（あ、意外と解りやすい）
　手を叩く音で、位置を判別しようと考えた桜庭円だったが、ホコリヒツジは自分から姿を現した。一見普通のヒツジに見えるが、その毛はホコリの塊。叩けば視界が悪くなってしまう。
「ねぇ、洗濯機の場所とか目星つけておいたほうがいいんじゃない？」
「そうアルねぇ。洗濯物おばけ対応には必要アル」
　走り寄ってくるホコリヒツジを避けながら提案する円に、畑中華菜子が頷く。彼女は円と共に少し先へ進み、襲い掛かってくるタオルやセーターやらゴミ怪獣にびくっ、となりながらもマッピング。
（私が頑張らないとみっちゃん先生もお部屋も助けられないし、新年も来ない……！　ちょっと怖いけど頑張るアル！）
　意気込んで彼女は手にした箒でゴミ怪獣の動きを牽制し、円が連携してフロアモップを振り回しつつ、接続部分にモップを押し付け、薙ぎ払う。ゴミ怪獣は、ゴミの集合体なので接続面が弱いのでは、と睨んだのだ。効果は抜群で、ゴミ怪獣はあっ、と言う間に砕けてしまう。
「ボク、思ったんだ。ここが先生の部屋をそのまま大きくしてるなら、洗濯機の場所の予測はつきそうって。お風呂近くじゃないかなー」
　そう言いながら円は襲い掛かってきたホコリヒツジをフロアモップで押し固め、道を作る。華菜子は頷きながら雑巾でホコリから身を守り、２人でひとまず洗濯機の場所を探しに向かうのだった。

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