俺様の前にひれ伏せ！第一回世界支配者大会、開催！｜リアクション

俺様の前にひれ伏せ！第一回世界支配者大会、開催！

【骨削瓢のセカイ】

　骨削瓢は、世界の支配者にはならなかった。

「あっしは支配なぞしないよ」

　神魂現象に気づき、自分が世界の支配者になれる可能性を正しく理解したうえで、瓢は開始早々にその権利を放棄した。
　瓢はいつだってカオスを望んできたはずだった。
　世界の支配者になれば、望むがままに世界をカオスにできるはずだ。
　それなのに、彼はその権利を放棄した。
　いったい何故か？　宗旨替えだろうか？
　否、そうではなかった。

「これは起きるまで続けるお遊戯。そうお遊戯なんですよぃ」

　そう。彼は世界を支配するのではなく、人の支配する世界をぶち壊す方を選んだのだ。
　何故って、それはもうそっちの方が面白そうだからである。
　やはり瓢は安定の骨削瓢なのであった。
　そんな彼は今まさに猫鳴館は地下帝国にて愛するメカナマズ軍団に士気高揚のための演説を行っていた。
　シーサイドタウンは神魂の影響で見る影もないほどに荒廃していたが、いつも荒廃している猫鳴館に死角はなかった。むしろ死角しかなかった。
「どうせ今回も結末は夢オチ。だったら、そんな泡沫の夢の支配者なんかになるより、ほかの連中の夢を悪夢に塗り変えてやる方がよっぽど愉快で楽しいってもんさぁ」
　マイクの代わりにお玉を握り、帽子の代わりに鍋を被って、瓢は滔々とメカナマズ達に熱弁を振るう。
　少し酔ったような口調で語る瓢はやはり多少は神魂の気にあてられていたのかもしれない。
「さぁさぁ、それじゃあ早速、他人の支配する世界に乱入、襲撃するよぉ！！！」
　握りしめたおタマで頭上の鍋を打ち鳴らし、メカナマズ達を鼓舞した瓢の声に大勢のメカナマズ達がぞろぞろと続く。
　彼はとにかく面白ければそれで良かった。
　この夢が面白い結末を迎えるなら、自分がオチ要員となることもやぶさかではなかった。
　だって、どうせ全ては夢オチなのだから。

　こうして、骨削瓢のセカイ侵略が始まる。