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こどものころのおはなし
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11 ジュ・トゥ・ヴー
11月の雨の日、自分は奴と再会した。奴と会わなければ、思い出すこともなかった。
蘇る、あの頃の記憶。
ただ、ひたすらに。
純粋に音楽と向かい合っていた。
――2人の時間。
∞
小学校6年生、授業の合間の休み時間、
神嶋 征一郎
はクラスメイトと過ごしていた。この頃の征一郎は今より笑うことが多く、人当たりが良かった。こうして誰かと他愛ない話をするのが常になっている。
この日は、彼女持ちの彼が皆に冷やかされていた。恋愛より音楽への関心が強い彼は、冷やかしの中でヴァイオリンのことを考えていたのだが。
「やーいイケメンせーいちろーもげろー」
誰かに引っ張り込まれたのか、その中に混ざった
篠宮 六花
がはやしたてる。ただし棒読みだ。征一郎が六花に最初に抱いた印象は『影が薄い、謎』というものだったが、それだけにクラスに溶け込んでいる六花は場を和ませるのは上手かった。
「なにを言ってるのかわからないんだけど」
征一郎も棒読みで返す。周りに笑いが起こる。休み時間終了のチャイムが鳴り、皆、自分の席に戻っていった。
――放課後。
音楽室の前を通ると、ピアノの音が耳に入った。その綺麗な音に導かれるように、征一郎は音楽室に近付く。演奏者の邪魔をしないようにそっと戸を開けると、ピアノの前には六花が座っていた。
(僕が知ってる篠宮君じゃない……?)
雰囲気の違いと、何より、ピアノの音色に征一郎はその場から動けなくなった。曲が終わると、静かになった音楽室に向けて彼は拍手を送った。
「……!? え、と、神嶋?」
鍵盤に両手を乗せたまま、六花は驚いた顔をしている。
「君ってそんな一面もあったんだ」
征一郎が言うと、彼は顔を赤くした。
「聴いてたなら声掛けてくれ……その、恥ずかしいから」
そして、両手で顔を覆う。普段は見ない仕草で、彼の素を垣間見た気がした。楽器の前では本来の自分が出る――そこに、何となく親近感を覚えた。
「ねぇ、もっと弾いてよ」
ちゃんと話すのは初めてだな、と思いながら素直な気持ちでリクエストする。すると、六花は「え」と気が進まないような顔をした。
(もっとなんて、嫌だ)
咄嗟に、六花はそう思った。
でも。
彼は、征一郎がヴァイオリンケースを持っていることに気が付いた。口元に笑みが浮かぶ。
「神嶋の音色を聴かせてくれるのなら、いいぞ」
「僕の?」
征一郎は自分の持っているケースに目を遣り、ちょっと考えて、笑う。
「いいよ」
ケースからヴァイオリンを出し、一拍の間の後に演奏を始める。
六花は、征一郎を最初に見た時、『綺麗な青い子』という印象を持っていた。その印象に間違いがなかったかのような、綺麗な音だ。ただ、音の中に、矜持のようなものが含まれている。それもまた、彼らしい音色のような気がする。
六花は、毎日遅くまで音楽室に籠もっていた。それは、両親の不仲が気まずく、何となく家に居場所がないような気がしていたからだ。
――ピアノだけは、俺の気持ちを受け入れてくれる。
そう思って、ピアノに向かっていた。
さっき、拍手を貰うまでは。
彼の音を、聴くまでは。
この日をきっかけに、2人は放課後の音楽室で秘密の時間を共有するようになった。征一郎の親は少し厳しく、彼は塾に行かなければならなかった。
塾が始まるまでの僅かな時間、征一郎は夢中でヴァイオリンを弾いた。姉の影響で音楽を始め、手を伸ばしたのがヴァイオリンだった。
小学6年生――まだまだ技術も拙く、音もよく外れる。だが、演奏する毎日はきらきらして、楽しかった。
研ぎ澄まされた音が、心に響く。
初めて六花と一緒に演奏したのは、サティの「ジュ・トゥ・ヴー」。六花は、ヴァイオリンの音に合わせながら、その音に惹き込まれていた。
(こんなに心を揺さぶられるなんて。……神嶋はすごいな)
独りの頃にはモノクロだった演奏に、色が付いた。
「髪を触らせてくれないか?」
ある夏の日に六花がそう言うと、「え?」と、征一郎は驚いたようだった。
実は、ずっと彼の青色が気になっていた。
その目をもっと見て、髪に触りたい。
「い、いいけど……」
戸惑いを見せる彼の髪に、そっと指を近付ける。
誰かに触れたいと思うのは初めてだから、努めて優しく。
目を細めてその色を見ている間、征一郎はいつもよりも多く瞬きをしていた。まだ驚いているのだろう。
「征一郎の色が、涼しそうに見えたから」
微笑んで、言う。
この日から、よく、彼の髪に触るようになった。
「青空が恋しいから、征一郎が代わりになってくれ」
曇りの日にこう言うと、涼しそうと言ったのを覚えていたのだろう。征一郎はつい、というように苦笑した。
「涼しいのか暖かいのかどっちだ」
「うん、俺も結構適当なこと言ってる自覚はある」
「君はあべこべだな」
征一郎はまた笑う。
「でも、芯はまっすぐって、僕知ってるから」
「え……俺が?」
「君の演奏が答えてる」
意外に思った六花に、征一郎は柔らかく言う。
「音楽には嘘をつかないだろ? 君との距離が近いからわかる」
六花は虚を突かれた気がして、彼を見返す。だが、そう言われたのは純粋に嬉しかった。
「そうか。俺は……ほら、白いから」
半袖の下に伸びる腕を、六花は見せる。
「青が、ちょっと眩しいんだ。俺、夏生まれなんだがな……雪の別名が六花なんだ。冷たい冬の雪が俺の名前なのは……あまり、好きじゃない」
俯き気味に、少し陰のある表情の彼に、征一郎はやさしいような、けろりとしたような、その中間のような口調で言った。
「僕は、君の名前嫌いじゃないけど?」
「でも、雪は……」
いつか、溶けて消えてしまう。
「じゃあ、六花が雪のように消えてしまわないように僕が繋ぎとめるから」
征一郎は人好きのする笑みを浮かべると、六花の手を握った。
不意の行動に、六花は驚く。
ぎゅっと、その手を握り返した。
(……繋ぎとめてくれ)
――そっと、祈った。
――音楽以外のことも、色々話した。
征一郎は、自分の親のことも、六花に話すようになった。
「六花ん家は……」
言いかけて、口を噤む。六花から笑顔が消えていることに気が付いたからだ。空気を読み、彼は話題を変える。
「僕の夢はバイオリニスト。僕の音楽で皆を笑顔にする。君は?」
「夢……か」
六花は顔を上げ、音楽室の天井を見る。
夢を持っていいなんて思ってなかった。
それでも、望むことが許されるなら。
「俺の夢は、ピアニストになることだ。それと……」
六花は征一郎と真正面から目を合わせる。
「征一郎の隣に居たい。……初めての友達。大切なんだ」
――そう、言ったのに。
「また連絡するから返事しろよ!」
卒業式の日、征一郎は笑顔で六花に言った。六花も、笑顔を返してくれる。
「ああ、また会おう」
「また一緒に演奏しような」
一緒に演奏することを疑いもせず、征一郎は彼と約束し、別れた。
まさか、彼が消えるなんて思わなかったから。
(……笑えてた、よな)
別れた後、六花は笑顔を消して征一郎に背を向けた。
「もう会えないな」
呟いた言葉は、風に消えた。
両親の不仲は決定的になり、2人は離婚して六花は親戚の所へ移ることになっていた。
それは、絶対心配させるから、言えない。
(だから…………ごめんな、征一郎)
そして、2人を繋ぐ先は――
∞
寝子島高校の音楽室で、ヴァイオリンとピアノの音が響いている。
そこでは、青い髪の男子生徒と銀色の髪をした雪のような男子生徒が2人きりでセッションをしていた。
ピアノを弾きながら、六花は思う。
――いつまでも色褪せない、大事な思い出。
――征一郎が俺の心を開いたんだ。
――昔も、今もずっと。
(征一郎が好きだよ)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
沢樹一海
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月28日
参加申し込みの期限
2015年11月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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