- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
クリスマスのあしおと
料理とお喋りでキッチンが一杯になる中、翠響の手伝いを終えてすぐに手の空いたイリヤは、置きっ放しにしていた自分と兄たちの通学鞄を上の自宅に運ぶ為に戻っていた。
階段を降りてホールへ戻った時、入り口のベルがリンと音を響かせた。今日のアルバイトと手伝いの仲間は今キッチンにいる者達で全員。
となると思い当たるのは、試食の手伝いをお願いした常連客の大道寺 紅緒と伊橋 陽毬の二人だ。
彼女達の姿を思い浮かべてイリヤが駆けて行った扉の前には、想像していなかった小さなお客様が立っていた。ポニーテールに結んだブロンドに、ブルーアイズの少女だ。
「……今日は、お店はお休みです」
沈黙が落ちて、少女は首をかしげる。これは困った状況だ、相手が何人で何語を話すのかさえ分からない。イリヤはとりあえず膝を折って、英語で問いかけた。
「Where are you from? Your name,please?（どこから来たの？ 名前は？）」
「トワ、Doorが開いてたカラ入ったデス」
どうやら日本語は分かるようだし、英語も理解している節がる。言葉が通じたことにホッと息を吐いて、もう一度同じ質問を繰り返そうとすると、少女——トワ・E・ライトフェロゥは、イリヤの横を抜けてキッチンの方向へ駆けて行ってしまう。
「待って！」
追いかけて捕獲するより早く、トワはキッチンの入り口で止まり、皆の様子を見渡してぱああっと瞳を輝かせた。
「楽しそーデス！」
「うん、あのね——」
「トワもートワもやるデスよー！」
どうしよう、とイリヤが困り果てていると、トントンと肩が叩かれた。振り返るとエリセイが立っていて、トワの前には既に姿勢を低くしたレナートがいる。
「レーナに任せとこ」とエリセイに言われて、イリヤは不思議な気分のままキッチンの奥へ戻って行った。
「どうしたの？」
「トワ、Cookingなら得意デス！」
「へー、トワちゃんの得意料理は？」
「Sandwichデス!」
「サンドイッチ作るの楽しいよね。俺らはクリスマスの料理作ってるんだよ」
「Christmas！？ トワも、Santa Claus＆Christmas tree作るデスヨ!」
「じゃあ俺と一緒に、あっちで企画書作ろう」
「キカクショ？」
「そう。大事だよー、企画書。仕事をする大人は皆作るんだよ」
大人、凄い、仲間入り、そんな勢いで満面の笑みになっている少女背中を押して、レナートはホールへトワを導いた。
「どうぞ、トワちゃん」
椅子を引いて座らせた姿を見た感じ、小学生ではあるだろう。保護者が探しているだろうか。だが外の雨は本降りになってきて、迂闊に子供を連れて迷子の親探しをするにはキツイ状況だ。
ゆっくり情報を聞き出して、合流させてあげるのを目指して——、最悪小学校に問い合わせればいいだろうと気長に考えて、レナートはトワを座らせたテーブルにノートとペン、ジュースを出した。
「トワちゃんがどんな料理を作りたいか描いてごらん」
企画書ごっこに夢中になっているトワが「あっち」からきた、「四年生」で、恐らく保護者の名前が「カエデ」というところまで聞き出したところで、トワの作業は大体終了したらしい。ただ、完成した企画書は絵で、レナートにはトワが何を言わんとしているのか分からなかった。
と、そんな折にドアベルが鳴る。
「すまない、この辺りで子供を——……いた！」
入ってくるなりそんな具合だった少年の様子を見て、レナートは大体を理解する。
「君がカエデさんか」
「すまん、マジすまん。あほ姫がマジすまん」
挨拶が謝罪な辺り、彼——夜海霧 楓には今の状態が分かっているのだろう。そしてよくあることなのかもしれない、とレナートは納得する。
「カエデ！ トワ、Christmasのキカクショ作ったデスヨ。これでトワも、Cookingデス！」
絵を見せられて眉を寄せている楓へ、レナートはこれまで何が起こったかを説明した。トワが料理に参加したがっていることを知った楓は、自身の監修——もとい、自身の手によってトワの絵が現実にする方向で参加することになった。
なお、トワが自信満々で申し出た手伝いは、楓の「三途の川を見たくない」との理由から却下された。
「present boxいっぱいの袋、サンタとトナカイのtea breakとかデス。
cappuccinoとかmilk teaで絵を描くとかもイイカモ？ ツノはchocolateデスネ！」
ワクワク見守るトワの前で、楓は二つのクレープを作った。当人は
「針葉樹のチップで炒ったチーズとハムを、レタスと一緒にパンに載せるだけでも十分だと思うが」と言いながらも、ファンシーなクリスマス料理が完成したのである。
階段を降りてホールへ戻った時、入り口のベルがリンと音を響かせた。今日のアルバイトと手伝いの仲間は今キッチンにいる者達で全員。
となると思い当たるのは、試食の手伝いをお願いした常連客の大道寺 紅緒と伊橋 陽毬の二人だ。
彼女達の姿を思い浮かべてイリヤが駆けて行った扉の前には、想像していなかった小さなお客様が立っていた。ポニーテールに結んだブロンドに、ブルーアイズの少女だ。
「……今日は、お店はお休みです」
沈黙が落ちて、少女は首をかしげる。これは困った状況だ、相手が何人で何語を話すのかさえ分からない。イリヤはとりあえず膝を折って、英語で問いかけた。
「Where are you from? Your name,please?（どこから来たの？ 名前は？）」
「トワ、Doorが開いてたカラ入ったデス」
どうやら日本語は分かるようだし、英語も理解している節がる。言葉が通じたことにホッと息を吐いて、もう一度同じ質問を繰り返そうとすると、少女——トワ・E・ライトフェロゥは、イリヤの横を抜けてキッチンの方向へ駆けて行ってしまう。
「待って！」
追いかけて捕獲するより早く、トワはキッチンの入り口で止まり、皆の様子を見渡してぱああっと瞳を輝かせた。
「楽しそーデス！」
「うん、あのね——」
「トワもートワもやるデスよー！」
どうしよう、とイリヤが困り果てていると、トントンと肩が叩かれた。振り返るとエリセイが立っていて、トワの前には既に姿勢を低くしたレナートがいる。
「レーナに任せとこ」とエリセイに言われて、イリヤは不思議な気分のままキッチンの奥へ戻って行った。
「どうしたの？」
「トワ、Cookingなら得意デス！」
「へー、トワちゃんの得意料理は？」
「Sandwichデス!」
「サンドイッチ作るの楽しいよね。俺らはクリスマスの料理作ってるんだよ」
「Christmas！？ トワも、Santa Claus＆Christmas tree作るデスヨ!」
「じゃあ俺と一緒に、あっちで企画書作ろう」
「キカクショ？」
「そう。大事だよー、企画書。仕事をする大人は皆作るんだよ」
大人、凄い、仲間入り、そんな勢いで満面の笑みになっている少女背中を押して、レナートはホールへトワを導いた。
「どうぞ、トワちゃん」
椅子を引いて座らせた姿を見た感じ、小学生ではあるだろう。保護者が探しているだろうか。だが外の雨は本降りになってきて、迂闊に子供を連れて迷子の親探しをするにはキツイ状況だ。
ゆっくり情報を聞き出して、合流させてあげるのを目指して——、最悪小学校に問い合わせればいいだろうと気長に考えて、レナートはトワを座らせたテーブルにノートとペン、ジュースを出した。
「トワちゃんがどんな料理を作りたいか描いてごらん」
企画書ごっこに夢中になっているトワが「あっち」からきた、「四年生」で、恐らく保護者の名前が「カエデ」というところまで聞き出したところで、トワの作業は大体終了したらしい。ただ、完成した企画書は絵で、レナートにはトワが何を言わんとしているのか分からなかった。
と、そんな折にドアベルが鳴る。
「すまない、この辺りで子供を——……いた！」
入ってくるなりそんな具合だった少年の様子を見て、レナートは大体を理解する。
「君がカエデさんか」
「すまん、マジすまん。あほ姫がマジすまん」
挨拶が謝罪な辺り、彼——夜海霧 楓には今の状態が分かっているのだろう。そしてよくあることなのかもしれない、とレナートは納得する。
「カエデ！ トワ、Christmasのキカクショ作ったデスヨ。これでトワも、Cookingデス！」
絵を見せられて眉を寄せている楓へ、レナートはこれまで何が起こったかを説明した。トワが料理に参加したがっていることを知った楓は、自身の監修——もとい、自身の手によってトワの絵が現実にする方向で参加することになった。
なお、トワが自信満々で申し出た手伝いは、楓の「三途の川を見たくない」との理由から却下された。
「present boxいっぱいの袋、サンタとトナカイのtea breakとかデス。
cappuccinoとかmilk teaで絵を描くとかもイイカモ？ ツノはchocolateデスネ！」
ワクワク見守るトワの前で、楓は二つのクレープを作った。当人は
「針葉樹のチップで炒ったチーズとハムを、レタスと一緒にパンに載せるだけでも十分だと思うが」と言いながらも、ファンシーなクリスマス料理が完成したのである。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2015年10月23日
- 参加申し込みの期限
-
- 2015年10月30日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2015年10月30日 11時00分
