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【お三夜】寝子島らんちゅう品評会〜お猫様はご遠慮下さい〜
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【最後の切り札】
飼育者の1人が最後のらんちゅうをプラ舟へ移し終えてネットを下ろした。
息をつきつつ城山は念を押す。
「これでお終いですか?」
「おう! らんちゅうは全部移動し終わった! とりあえず一安心だ!」
「よ、よかった〜」
その場にしゃがみこむ城山。手が震えているのを自覚した。
洗面器を運びはじめてからずっと緊張していた。
下手に動かして水をこぼしてしまったり、らんちゅうを傷つけてはいけない。
焦らないで焦らないで、とひたすらに自分に言いきかせていた。周りへの発言は本当は自分に向けていたものだった。
飼育者達の洗面器の扱いをよく見て真似して、失敗しないように。
とにかく必死だったのだ。
「お嬢さん、ありがとうな。アンタの声はよく通って、俺たちも冷静になれた」
「……いえ、本当に良かったです」
城山はようやく笑みを浮かべた。緊張した面持ちから解放されたその笑顔はとてもとても爽やかだった。
とりあえずらんちゅうの安全は確保できた。ひとまず猫軍との攻防が沈静化する。
しかし猫の軍団は依然勢力を保っていた。倉の中に確保した猫を除いても、境内にはまだ30匹以上いる。
しかも、まだらんちゅうを諦めてはいないようで、今度はプラ舟の周りに集まりはじめた。これでは飼い主が引き取るのも容易ではない。
愛好会とは別に助っ人学生達が集まって相談し始めた。
御剣がさすがに眉間にしわを寄せる。
「どうするよ、これ」
「時間がかかっても猫達を移動させるしかないが、もしさらに集まってくるとなったら……」
「ちょっとお手上げですよねー」
八神も屋敷野も困惑する。猫の集まり具合いはいささか想像の外だった。
らんちゅうこそ守ったものの、このままでは解決に至らない。
しかし他に方法が無いもの事実。地道に猫を確保し続けるしかないか、と覚悟を決めた時、最後の切り札が到着した。
着慣れた和服を翻しパイプにハーブをくもらせて、ひょうひょうと辺りを見渡すその様は粋でいなせな好々爺。
らんちゅう愛好会の面々、特に年長者が信頼の声をあげた。
「猫屋敷の!」
「宝さん、なんとかしてくれ!」
「ほっほ、皆の衆、ごきげんよう」
のんきな挨拶の中に貫禄が感じられる。
猫屋敷 宝
だった。
「三夜家の若いのに声をかけられたから来てみれば、なるほど猫達が興奮してたのはここじゃったか」
歳を感じさせない健やかな歩みで猫達の側に近づくと、その場にしゃがみパイプを口から外した。にこやかな笑顔を浮かべつつ、手前の猫を見やる。
「近隣住民の頼みとあらば。どれどれ、ちょっと話を聞いてみようかね」
自身も『もれいび』である御剣だったが、猫屋敷の『ひと目』を気にしない発言に驚き、素直に疑問を口にした。
「猫と話ができるのか!?」
「ほっほ、お若いの、あたしはこれでも寝子島猫屋敷の当主じゃからの。まぁ、まかせておきなさい」
そんな若者にウインクすると、猫屋敷は目を細めて猫を見つめる。
端から見ればそれは不思議な光景で、本来これだけ『ひと』がいれば、ろっこんはまず顕在化しないはずだった。
この場の『ひと』のほとんどが持っていた『猫屋敷一族はこの寝子島で代々猫と共に生きてきた』という共通認識が『フツウ』だからなのか。
それとも、目に見えないろっこんだからか。
もしかしたら彼の力はろっこんではなく、猫を愛するもの故の洞察力なのか。
『心行遊楽猫語』
ネコ科の動物と会話ができるというろっこんは、何の問題もなく発動した。
「ふむ、なぜか分からぬがまるまる太った魚がいることが分かるとな?」
それは確かに普通に考えれば疑問だろう。らんちゅうは洗面器に入れられて並べられているが、その中身は猫の視線ではまず見えない。
神魂の存在を知らなくては納得できない状況だった。
「お前達のいい分はまこと猫として理が通っておる。まるまる太った魚がしかもたくさんいると分かれば、皆で手を出したくもなろうの」
猫屋敷は目の前で鳴く猫達に頷き返した。
「だがの、勘弁してやってくれんか? この魚はあそこにいる寝子島の住民が大事に育てた子供達じゃ。見覚えはあるじゃろう。お前達と共にこの寝子島で生き、何度も飯をくれてるじゃろうが」
一斉にらんちゅう愛好会の面々に顔を向ける猫達。その様子は話が通じていると信じさせるに足る光景だった。
再び猫達が騒ぎだす。互いに相談するように。聞き手に訴えるように。
飼育者達も固唾をのんで見守るなか、猫屋敷は何度も頷き破格の笑顔で言った。
「良く言った! それでこそ寝子島の猫じゃて。お礼といってはなんだが、そろそろうちの孫娘が貯蔵庫を開けてるところじゃろう。空きっ腹ならうちの屋敷によって食べてきたらどうかえ?」
猫屋敷が立ち上がるとそれを合図にしたかのように、猫達は思い思いの方向に歩き去っていく。
別れを告げるように鳴き声を奏でながら。
「……すごいね」
「猫仙人みたいなのだー!」
「ああ、本当だな」
「ちょっとうらやましいですねー」
恵御納や後木、八神や屋敷野が思わず声を漏らす。これは動物好きな面々に限らず当然の感想かもしれない。
小さな頃に読んだ童話のように、動物や鳥と話をしてみたいと思う人は多いことだろう。
猫屋敷は集まっていた学生達のもとに歩み寄ると、人好きのする笑顔で話しかけた。
「猫達からきいたぞ。お主達は本当に猫好きらしいの。こんな状況で一匹たりとも怪我させなんだ。『魚は食えなかったが楽しかった』と言っておったぞ」
「楽しかった、ですか。それなら良かったです」
やっと安心したのか穏やかな声で応じた八神は頭を下げた。
年長者へ、特に尊敬に値する人物への礼儀を欠かさない彼らしい実直な態度。
「助かりました。ありがとうございました。その、申し上げにくいのですが、あちらにも猫がたくさんいます。同じように説得してくれたらありがたいです」
「頭をあげなさいよ、お若いの。同じ寝子島の住人で同じ猫好きじゃろう? そんなに他人行儀にするもんじゃないわな」
猫屋敷は自然体で答えた。年下だからといっても偉ぶらず、同じ目線で話す様は人柄がにじみ出ている。
「さてさて、あたしも猫ラブじゃからの。そちらの猫達は落ち着いているのじゃろう? 説得する前にひとしきり愛でても問題なかろうて」
学生達、特に猫好き動物好きはその言葉に心中穏やかではなかった。
そうなのだ。今、あの倉の中は猫天国なのだ。
らんちゅうのことがあったから自分を抑えていたが、猫仙人のような猫屋敷の登場で考慮する必要性が霞のごとく消え去った。
残るのは猫好き動物好きの純粋な欲望……もとい愛情。
あの猫の海で溺れたい!
「……賛成です」
「僕も、参加したいな」
「わ、私も参加しちゃっていいでしょうか?」
「これがホントの猫祭りなのだー! がおーも存分に遊ぶのだー!」
「猫を飼ったことはないんですがー。それはちょっと魅力的ですよねー」
どうやららんちゅう品評会は、お猫様品評会に変わってしまうようだ。
さて、この場にはいないが事件解決の陰の立役者。情報拡散に貢献し、多くの助っ人を現場に導き、最後の切り札を誘導した人物は、というと。
「……くそう、階段ダッシュがこんなに辛いとは。俺もおっさんになってしまったもんだな……」
三夜は鰹節とかんなを手にし、息を上げつつ参道でつまづいていた。
汗がしたたり落ちる。いかに実家が神社から遠くない旧市街にあるとはいえ全力疾走したその反動は大きかった。
「いや! 俺は忘れない。忘れていないぜ! アクアリウムにザリガニが入っていたあの無念……!」
あの怒り。あの悲しみ。あの空しさ。
らんちゅうを愛する者に。同じ感動を求めている同志達に、味あわせてなるものか!
「らんちゅう様のためなら、俺は限界を超えてみせる!」
震える膝に活を入れ、力ないくるぶしを意思で支え、階段を踏みしめ歩く。
「もうすぐだ。みんな待ってろよ!」
疲れのあまり気がつかない。その横を複数の猫が軽やかに下っていくのに。
境内に着いた三夜は、安堵と空しさを友にして真っ白に燃え尽きたのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月21日
参加申し込みの期限
2015年10月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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