【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

13.

　桜庭円、御剣刀、千鳥雅人の三人は、必死に廊下を走っていた。
　彼らの右腕に取り付けられた腕章。
　そこにあるのは、それぞれ違うクラブ名だった。

　円はボクシング部。
　刀は剣道部。
　千鳥は学生支援部。

　彼らはそれぞれ、違うクラブから参加していたのだ。

【ボクシング部・剣道部・支援部／土下侍】

　数日前、円は刀に泣きついていた。
「うわーん。刀くん、たふけてー！」
　ボクシング部として出場予定だった彼女。
　部費争奪戦を、直前まで失念していた。
「うん。忘れてたぁ！」
　慌てて友人に電話するも、忙しいの一言で断られた。
「今から打ち合わせしても、間に合わないぃ！」

　窮した円は、頼りになる友人、御剣刀に縋った。
「よう、円……」頼りになるはずの彼が発したのは、こんな言葉だった。「お前もか？」

「やっちゃった……ちゃんと伝わっていなかった？」
　剣道部のメンバー募集、声を掛けたつもりが、何かの手違いがあったのか？
　刀以外、だれも剣道部の参加者がいない。
　円の様子を見て、刀は心に決めた。

（こうなったら、他の部活でもいいから、声を掛けて人数をそろえよう！）
「参加することに意義が！」拳を握る円。
「手を組もう！　あともう一人、心当たりがある……」呟いて、電話を取り出す刀。

　誰が知ろう。この些細な決断が、あとであのような悲劇の引き金になるとは。

「千鳥ー！　力を貸してくれ！」
　やってきた千鳥雅人に、刀は土煙を上げながら土下座をかます。
　ほら、早くとせかされた円、一緒にキレイな土下座を並ばせる。
　事情は分からぬながら、雅人は快諾する。
　支援部での出場を決定。
「さすが支援部！　助かる！」俺も支援部だけどな、と突っ込みを自分に入れる刀。
　笑いに包まれる一同。
「部費は三等分。アップできたらな
　雅人は胸を張った。「大船に乗ったつもりでいてよ！」

　そして当日、雅人はしくじっていた。

　まさか、前日寝そびれてしまうとは。
　意図せぬ夜更かしで、雅人は朦朧としていた。
　健康優良児、いざという時には不屈の精神も見せる雅人ながら、眠気にはめっぽう弱い。
　大船に乗ったつもりが、自分が船をこいでいた。

　ふわふわ進む雅人を、戦力からひそかに外して、刀と円は走る。

　しかし、妙だ。
　一向に、他の部に出会わない。
　なにか、自分たちが誰かに誘い込まれているような気がする。

　妖しい声が、闇に殷々と響いた。

（認められない……）

　――囲まれている？
　我に返ると、虚空の只中、三人だけが闇の中に浮かんでいる。
　尋常ならざる気配が、一同を包む。
　そして、だしぬけに――。