【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

14.

　ガッ！
　青白いレンズフレアが世界を震わせ、そのたびごとに人影が現れる！

　ゆく手を塞ぐかのように、神像のごとき巨漢、主審を任された尾鎌蛇那伊。

　円の右手に、優美なニンフのごとき、早坂恩。

　雅人を射すくめるかのように、悠然たる神秘の女王、三宅葉月。

　刀を狙って、影の如き恐るべき刺客、夜海霧楓。

　彼らの腕には――『審判』の文字が染め上げられた腕章。

「ドーモ、ボクシングブ＝サン、ケンドーブ＝サン、ガクセイシエンブ＝サン」

　肩を叩かれ振り返る円。
　気配を悟られなかったことにも、あっさり背後を取られたことにも、もはや驚く余裕はない。
「ニン……じゃなかった、審判です」
　笑みを浮かべるのは、ニンジャイレイザーならぬ、呉井陽太とともに審判長を務める、エヴァ・ブランシェ。
　闇の中で豪奢に光る金の髪。
　制服に審判の腕章。
　額の鉢巻には『審』『判』の文字。

　――私の予算を巡って、みな争うがよい……。
　ジャッジマスターにして、部費争奪戦の絶対裁定者、会計。
　そのうちの一人。　
　陽太が状況を把握し、的確にレールに戻す役目なら、エヴァの役目は、レールから外れた者を処刑すること。
　一騎当千の執行者（ジャッジメント）を従えた、恐怖のジャッジマスター。
　動く法廷。動く法典。動く死刑台。

（危ない危ない、いつものクセでニンジャイレイザーとか言いそうになったわ……）
　内心の動揺を押し隠し、昂然とエヴァは三人を見遣る。

　――クラブ三人で一チーム。
　――混成チーム、助っ人はルール違反。
　――待ち受けるのは死。

「お友達を助けようとするのは立派だったけど、やっぱりズルはだめよねぇ」申し訳なさそうに恵が笑う。
「その……腕の腕章」いち早く、異変を見抜いた葉月が、三人の腕章を示す。
　制服に隠すようにして取り付けられたそれら。
　ずれた端から見えるのは、それぞれ別の部を示す腕章。
「美しくない……」絵画的なセンスから、彼女は真相を見抜いていたのだ。

　異様な雰囲気から、じりじりと交代する刀、円、雅人の三人。
　ガードを固める。
　だが、この威圧感……なんだ？

　エヴァが、冷たく宣告した。　

　重大な違反のあったものには、厳重な『処分』が下される。

「違反者死すべし、慈悲はない」