【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

１．
　暗闇の中で、がっちりした肉体を瀟洒なスーツに包み、その男は静かに立っている。
　なぜか片側の目は眼帯で覆い、ゆっくり、期待を持たせるように、噛んで含めるように言葉を絞り出す。

　部費争奪戦の始まるその直前、校内放送とネコネコ動画の全チャンネルが、ジャックされた。
　映し出されるのは、闇の中に浮かび上がる男の姿。

　彼は悠然と、教室の机の上に座る。
　
　その男を、我々は知っている。
　その男が何者で、どういう名前で、誰であるかをしらなくても、
　彼が幾多の修羅場を駆け抜けた、歴戦の勇者であると知っている。
　隆とした筋肉、無数の傷が、彼という存在を雄弁に語る。

　上げた顔の片側には、黒々とした眼帯。
　英国紳士のように、優雅に一揖する。

「唐突な登場、失礼いたします――。

　毎年恒例の、クラブ対抗部費争奪戦。

　その参加者一同の準備が整うまで、
　しばしお時間を頂いて、争奪戦のルールを簡単に再説明させていただきます」

　聖なる怪物、尾鎌蛇那伊。
　舞台俳優、オペラ歌手のようなしぐさ、立ち振る舞いがこれほど似合う男も珍しい。

「争奪戦の内容は――ズバリ『風船割りバトル』。

　制限時間内に一人二つ、一チーム三人の合計六つの風船を守りながら、
　他のチームの風船を割っていく。
　そしてチーム内で最後まで残った風船の数で、部費の分配額が決まる。

　――とってもシンプルなルール。ゆえに取れる手段は無限大。

　条件はただ二つ。
　相手に、果敢に立ち向かう事。背を見せないこと。
　それから、あくまで面白くあること。面白く勝つこと。
　コメディエアーが、皆さんを縛り、そして皆さんを導くでしょう……」

　そこまで言って、懐から金のマイクを取り出す。
　天を仰ぎ、煌々たる光の中で、大音声が世界を震わせる！

「では、僭越ながら有志審判団の一人、この尾鎌が争奪戦開始の合図を出させていただきます」

　――寝子島高校！
　――クラブ対抗！！
　――部費争奪！！！
　――バルーンファイト！！！！

――　レデイー・ゴー！！！！！　――

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