体力をつけよう　～初冬編～｜リアクション

体力をつけよう　～初冬編～

結：運動の後は？／夕暮れに……。

　木鈴寧々子はこの日、朝から「水族館一日見学ツアー！」と決め込んでと寝子島マリンパラダイスにやってきたものの、昼前には出口にいた。まぁ、そこそこに観るものが豊富といえど、さすがに一日潰すまでには至らなかったらしい。
（イルカのショーは中止だったのがちょっと残念だったけど……）
　今、彼女の手には１枚のチラシが握られている。水族館の出口にあった物で、そこに書いてある内容は今の寧々子にはちょうど良かった。
「このカフェテリアでの支払いが５％割引っていいわね」
　そう呟きながら彼女はスポーツセンターへと足を向けた。
　実のところ、寧々子は生まれてこの方、スポーツセンターを利用した事がなく、成人するまでスタジアムと混同していた。その為、寝子電スタジアムを見ながらも「スポーツセンター、スポーツセンター……」と呟きながら歩いていた事に関しては、目撃者が居なかったので良しとしよう……と、寧々子は決めた。

　――カフェテリア

　昼食時間は少し過ぎていたが、休日と無料開放日という事もあって、多くの人が利用している。部活を終えた羽生碧南は部活の仲間と共に楽しく食事をしていた。
（練習の後、シャワーを浴びた後に食べるご飯ってどうしてこんなにおいしいのっ！？　疲れた身体に沁みるなぁ……）
　と幸せオーラ全開に食べる姿は普通の女の子である。彼女は友達とおしゃべりしつつもしっかりと食事を取っていた。

「しっかり食おうとおもって来たんだが……」
　そう呟きながら御剣刀は辺りを見渡すが、席が空いていない。どうしようか、と思ったら自分に手を振る少女が。ランニングコースで会った小山内海である。傍らには恵御納夏朝もいる。２人はばったりとカフェテリアの前で会い、一緒に食べよう、という事になったのだ。
『一緒に食べよう？　席、あいてないみたいだし』
「その方が、楽しいと思うよ」
　海と夏朝に言われ、刀はその言葉に甘える事にした。
　夕食などの事も考え、夏朝と海は軽食を、様々な鍛錬をした刀はいくつかのメニューを注文していた。
（体力づくりに、たんぱく質の多い食べ物がいいかな？）
　と、夏朝は大豆食品を使ったメニューと牛乳を選んでいる。海も似たようなメニューで、軽く取ったらまた走るつもりである。
「さぁ、思いっきり食べるぞっ！」
　刀は並んだ料理に目を輝かせ、手を合わせると幸せそうに食べ始めた。彼は元々腹ペコ属性持ちである。たくさん鍛錬した分、しっかりと食べていた。そんな姿を海はどこか「しょうがないなぁ」という優しい笑みで見守っている。
「ん？」
　ふと、刀が動きを止める。というのも、海がそれとなく頬を拭いてくれたからだ。どうやらケチャップがついていたらしい。
「ありがとな、海」
（どういたしまして、刀くん）
　刀が笑みをこぼすと、海も笑顔で頷く。そんな２人の様子に、夏朝は内心で苦笑する。
（おじゃまだったかな？）
　どことなくいい感じに見える刀と海を見ながら自分もいつかは恋をするのかなぁ、とか思うのだった。
「おー、みんなおそろいなのだ～」
　突如現れた後木真央の姿に３人ともちょっと驚くものの、一緒に食べよう、と快く出迎える。彼女もまたしっかり食べようと色々な物を購入していた。そして、刀同様しっかり食べる。

このページにイラストを設定する