体力をつけよう　～初冬編～｜リアクション

体力をつけよう　～初冬編～

「それにしても、いい方向にふっきれたよね！　外に出て、いろんなことをやってみるのも楽しいでしょ？」
「そうだね。前はゲームの世界にしか興味が無かったから引き篭もってばっかりで……。多分、それが駄目だったんだとおもう。今は、サバイバルゲームができるようになりたくて体力づくりしている面もあるのよ」
　実理が少し照れくさそうにそういえば、焔が反応する。彼女はミリタリー系のゲームが好きでサバイバルゲームもやった事がある。
「ホント？　それは是非ご一緒したいわね」
「ボクもやりたいなぁ！　やるときは是非誘って！　あとで番号教えるからさ！」
「うんっ」
　２人の言葉に、実理は嬉しそうに頷いた。

　時子が遠くから３人の様子を見ていると、不意に円と目が合った。
「あ、時子ちゃんも来てたんだ！」
「はい……」
　時子が頷くと実理と焔もやってくる。円が一緒にトレーナーの人にアドバイスを貰いに行こうと誘うと、時子は少し考え、嬉しそうに頷いた。
　このあと、色々と話しながら４人で水泳を楽しみ、カフェテリアでも話が弾む。共に話しながら、焔と円は、実理といっしょにサバゲーで早く遊べるといいな、と心から思うのだった。

（ちょっと休もう）
　疲れたのでスポーツドリンクでも飲もうと思いプールから上がった夏朝。彼女が備え付けの椅子に腰掛けていると、学校の友達を何人も見かける。傍らでは理紗子も休憩していた。暫くの間のんびりおしゃべりしつつ辺りを見渡し、夏朝はなんとなく表情を緩める。
（みんなも楽しそうだな……）
　そう思っていると、２つのグループが目に入った。１つは八神修と椿美咲紀、常闇月の３人組。もう１つは七峯亨と矢萩咲の２人組であった。

　美咲紀はどこか楽しげに準備体操をすると、思いっきり体を伸ばす。
「心肺能力を鍛えるのと、持久力を更に鍛えるのです。家庭菜園といえども、畑仕事は体力勝負ですからねっ！」
　園芸を趣味とする彼女らしい言葉に、月も修もやわらかい表情になる。
「今日は泳ぐことをメインとのことでしたので、泳ぎやすい水着を準備してきましたが」
　月はワンピースもののスタンダードなタイプの、黒い水着を着ている。そして美咲紀もまたスポーツタイプのものである。お互いに似合うと言い合う姿はそれだけでもかわいらしい。
「２人とも似合っているよ」
　と爽やかに言う修。因みに彼はトランクスタイプの迷彩柄水着を着用している。
　「ちょっとした油断が事故を招きますので」と月のアドバイスもあり念入りに準備運動をする３人。美咲紀は肩こり緩和に肩のストレッチをしつつ「水泳すると肩関節ぐにゃぐにゃになるんですよね？」と目を輝かせる。
「そこまで行かなくてもぐるぐる回して近頃重いこの肩を軽くしたいですね！　かたおもいは恋愛関係だけで充分なのです！」
　なんて冗談をいう美咲紀に、２人はくすっ、と笑う。が、美咲紀自身は自然と修を見て胸の中が少しくすぐったい気持ちになる。それがどんな気持ちなのか、彼女はまだ自覚できていない。
（シュー君と、常闇さんと一緒で楽しいです！）
　美咲紀は月からストレッチのアドバイスを貰いながら、念入りに体を動かすのだった。