濡羽色の空と踊れば｜リアクション

濡羽色の空と踊れば

【フライドチキンはタダじゃない！】

　椿美咲紀と常闇月は大量のフライドチキンとタライを手に部室棟の中と外を行ったり来たりしていた。
「寝子祭の邪魔はさせないのです！」
　美咲紀は連日の準備による寝不足でややハイになった感情を隠そうともしないで、誰にというわけでもなくそう宣言をした。
「ええ、私達の寝子祭を邪魔させるわけにはいきません」
　月もまた確かな決意を感じさせる口調でそう頷いた。
「……ですが、これで本当に上手くいくのでしょうか？」
　と、そこで月がふとその手にした装備（主にフライドチキン）を不安げな目で見つめながら言った。
「だいじょうぶ！　作戦立案者は頼れる我らがぶちょーのシュー君だもの！」
　美咲紀は断言口調でそう言って、そんな月の不安を払拭してくれた。
「そう、ですね。今は八神さんを信じて、私にできることをしましょう」
　月もそう言って、もう一度部室棟を真正面から見つめ直す。

「さあ、化学の力でカラス退治ですよ！　食べ物（フライドチキン）の恨みは恐ろしいのです！」

　そう言った美咲紀の目は大好物のフライドチキンが目の前にあるのに食べられない怒りも手伝って、かなり本気（マジ）だった。