授業風景～日本史の時間の場合～｜リアクション

授業風景～日本史の時間の場合～

「もし、織田信長が天下を統一したら……」
　続いては、御剣刀の発表だ。
「宗教関係は確実に変わっただろうな。キリスト教をもっと広めようっていう流れで。でも、もともとあった仏教や神道とかは抵抗するだろうし、国内での宗教戦争が起きたかもしれない。そうすると、やっぱり武器もたくさん必要になるだろうから、海外との交易を通じて新しい武器の知識も仕入れたかも」
「宗教上の対立はキリスト教が入ってきた当初から実際にあったから、禁教令がなかった場合宗教対立も深刻になっただろうね。もっとも日本人のことだから、折衷的な宗教を作ってしまった可能性もある」
　若杉先生の意見に、刀は感心した。
「なるほど……面白いですね。交易の頻度が上がると、もっと積極的に海外向けの気運が高まって、海外に輸出するための日本独自の製品も生まれそうだ。農業や工業は海外の技術がはいって、結構影響を受けるだろう。医学なんかの学問も影響があるだろうな。そのあたりはやっぱり大事だし、交流も多いだろう。あとは、向こうから来た人たちの食べ物や料理方法が日本のものと混ざって、新しいものができそうだ」
「現に、てんぷらは戦国時代に日本に伝わった南蛮料理の揚げ物がもとだと言われている。日本人は食に関してはいろいろ取り入れるから、想像が広がるね」
「へえ、知らなかったです。食に限らず、海外との接点がすごく増えて、文化も全然変わっていたところもあったんじゃないかと思う。当然、外国の側にも変化があったんじゃないかな。染物とか漆器が伝わって、独自のものが生まれそうだ。
　でも、国内の体制がある程度整ったら、信長は隣の国に戦争を仕掛けそうだ。そうなると、今で言う韓国辺りに速攻行くだろうし……あれ、東シナ海とか渡るのか？この当時って、海外の国ってどこに何があったんだっけ？」
　刀は、そのあたりの細かい勉強は得意ではない。若杉先生が補足する。
「中国大陸は明、朝鮮半島は李氏朝鮮が支配していたよ」
「ありがとうございます。ただ、海外に渡るのって大変だし、戦争の決着がつくまえに信長は死んでそうだよな……」
「まさしく、それを試みて失敗したのが秀吉だった。信長が海外に進出したとして、どれだけうまくやれるだろうか。微妙なところではある」