「ふぅ……」
秋も深まったある日、寝子島高校の職員室にて。
日本史担当の
若杉 勇人先生は、いつになく考え込んでいた。
「なにか考え事? 若杉先生」
世界史担当の
大橋 尚先生が見つけて声をかけた。
「うーん……実は、歴史が嫌いな生徒に、歴史の楽しさを分かって欲しくて考えてるんです」
「なるほど……ただの暗記科目だと思って嫌になる子は多いわね」
「歴史は暗記でなく、考えさせる科目だとわかってくれたらいいんですけど」
「それなら、こんな案はどう?」
大橋先生は笑って人差し指を立てた。
「日本史の時間を一回自由発表の時間にするの。『もしあの時点の歴史が変わっていたら、後の歴史はどうなっていたか?』というテーマを与えて。自由に考えることを通じて、歴史の面白さを見つけられないかしら」
「なるほど!」
若杉先生の顔が明るくなる。
「ありがとうございます、大橋先生! さすがは年の功ですね!」
「……今、何と言いました?」
「いや、ごめんなさい何でもないです……」
一瞬鋭くなった大橋先生の眼光に、小さくなる若杉先生。それでも、若杉先生はすぐ元気に立ち上がった。
「このアイデア、早速使ってみます!」
皆様お久しぶりです、三城俊一です。
今回は久々の授業風景シリーズ、日本史編です。
日本史担当の若杉 勇人先生が、一風変わった授業をお届けします。
○コンセプト
特別授業のコンセプトは「歴史のもしも」。
「日本史のある時点での歴史が変わっていたら、後の日本はどうなっていたか」を考えていただきます。
テーマは授業の前に出されていますので、事前に考えてきた内容を発表してもらいます。前で話すだけでなく、模造紙に書くなど工夫しても構いません。2人までのグループ発表もOKです。
描写できるシーンは、「事前の準備」(図書館で調べているシーンなど。希望される場合のみ)と、「授業での発表」となります。
○テーマ
テーマは以下の3つです。どれか一つを選んでいただきます。
1.もし、鎌倉時代に日本がモンゴルに征服されていたら?
2.もし本能寺の変が起こらず、織田信長が天下を統一していたら?
3.もし幕末に黒船が来航せず、日本の鎖国がその後も続いていたら?
想像する「その後の歴史」は、現代まで続けても構いませんし、適当な時代で区切っても構いません。
○補足
・2を選んだ場合、信長は70歳くらいまで(1600年代まで)は生きられるものとします。
・日本だけでなく、外国に与える影響まで話を広げても大丈夫です。
それでは、奇想天外な歴史の授業を作り上げていきましょう!