読書会　～語ろう、あなたの一冊を～｜リアクション

読書会　～語ろう、あなたの一冊を～

【３番手　御剣刀　お気に入りの一冊？】

「御剣刀といいます。これが俺の一冊だ！」
　そう言って取り出したのは何らかの図解の本である。古い本なのかは知らないが、タイトルやお値段などは、外や中がかすれるほど読まれていて、やや判別がつきにくい。
「……年季が入っているというか、使い込まれているというか、これをどこで手に入れたの？」
　ゆっくりとお茶を味わっていた仙藤紫が思わず聞いてしまうほど、その本は使い込まれていた。
「これは、祖父さんからもらったんだ」
　そういって、全体に見えるように本を開いて見せる。
「身体の動かし方や人体の急所とかが書いてあるんだ。身体の動かし方については図解があるし俺も日々の練習に活用しているよ。あ、奥義とかは乗ってない」
　確かに、図解でわかりやすく書いてあるのが見える。
「今は剣道が主流だから、こういう本は俺に取っては大事でさ。一人で練習をしている時は世話になってる。……最近は動きを教えるための動画がアップロードされたりしているが、昔の手法になるとまだまだ書物からの情報が頼りになるんだよな」
　といって、回し読みできるように渡す。
「わ！　すごい、絵がいっぱいだねぇ！」
　嬉野咲耶がぱらぱらとめくって感想を言う。
　応急処置などの、怪我の手当から人体のノウハウ……そういったことが解説されているのだが、意味が分からずともなんとなく色々すごい、と考えたらしい。
「こういう状態で大事にされているのはすごいですね」
　そう言って、森蓮が感慨深いとため息をつく。
　古い本を大事にするのはよいことだ。
　そんな風に締めくくられたのであった。