読書会　～語ろう、あなたの一冊を～｜リアクション

読書会　～語ろう、あなたの一冊を～

【２番手　アリシア・エーゼルベルク　電子の妖精？】

　一通り、先ほどの本が回し終わった後に、次はアリシアが立ち上がる。
「運営サイドその２、アリシア・エーゼルベルクです。私が終わったら、お客様の番なので、お楽しみに。……さて、私が紹介するのはＫＥＹ先生『ミュウミュウみっくす』です」
　一応、運営としての参加なので、普段とは違う丁寧な言葉で、アリシアは説明する。
「ボーカルソフトを紹介した本です？」
　その言葉に真っ先に反応したのは北玄であった。どうやら、彼の知識のどこかに引っかかったらしい。
「えぇ、人気のボーカルソフトについて、一通りのことが知れるマンガ本です。ギャグあり、涙あり、萌えあり、恐怖あり。しかも漫画は、公式のイラストレーターの先生であるＫＥＹ先生が描いています」
　なるほどなーという空気が流れる。
　そういう漫画があったというのも初耳という人もいるだろう。
「ヨーロッパにある故郷でもこの本が流行っていて、国際的な認知度も高く、この本をきっかけに日本語を覚えたという人もいるくらいです」
　その言葉に、桜崎巴は納得したように言った。
「昔の海外ゲーム好き連中は、国内にないアップデート本を外国から直接買って、自分たちのグループで翻訳しながら遊んでいた人もいる。興味があればそれがその言葉を学ぶきっかけになるってのは、今も昔も国も変わらないだろ」
「好きがどうなるか分からないですし……」
　アリシアが頷きつつ、続きを話す。
「この本は、私がまだ故郷にいた頃に出た本です。勉強に良いと思い、１冊はドイツ語訳版、もう１冊は原版を買いました。私はこの本を通して、ジャパニメーションの「わびさび」というか、萌えの真髄みたいなものに触れた気がしました。『ミュウミュウ漬けにしてやんよ』はもはや日本のことわざですね」
　萌えが世界に広まりつつある昨今、その萌えは着実にヨーロッパに進出していたことがよく分かる言葉である。
「ボーカルソフトはよく分かんないけど、そのキャラが人気あるのは分かったよ。あんたが日本に来ちゃうきっかけになったんなら、萌えの影響力は偉大だね」
　その庵の言葉に、アリシアは大きく頷いた。
「普段読む本とは違うけども、楽しく紹介している本は読みやすいし、わかりやすいからいいかも」
　岡野丸美はそういう世界もあるのか、という顔をしている。
「これで、終わります。よかったらクッキーもつまんでくださいね」
　そう言って、持ってきたクッキーを提供するアリシアであった。

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