祈りの家を隠すように、又は縛るように
白を纏った野薔薇が生い繁る。
入り口付近の外壁には薄汚れた小さなプレートが嵌め込まれており
「九夜山勿忘草教会」という文字が刻まれているのが確認出来る。
この教会の正式名称らしい。
ふむ、お嬢さんが気にしないなら大丈夫か。
それに人の噂も七十五日ともいうし、気にしなければするーっと人も忘れていくものさ。
ふふっ、そうだね。
ここみたいな素敵なところではないけれど、その代わりに沢山話をしようか。
(そう言い少女の手を取り、先導するように優しく手を引く)