祈りの家を隠すように、又は縛るように
白を纏った野薔薇が生い繁る。
入り口付近の外壁には薄汚れた小さなプレートが嵌め込まれており
「九夜山勿忘草教会」という文字が刻まれているのが確認出来る。
この教会の正式名称らしい。
え……。
(快諾されるとは思っていなかったらしく
予想外の返答に暫し固まり)
あ、あの、白露さん?
お家に行きたいって言い出した私が言うのもなんだけど
私は女の子で、貴方は男の人で、今日初めて会ったばかりで。
其れで1つ屋根の下で一晩過ごすというのは…。
もしご近所さんに見られたら色々と誤解を招いたりとか、ね?
行きたくないわけじゃないし、行きたいけれど。
その…色々と大丈夫なの…?
(困惑顔で懸念を並べて様子を伺う。
嫌なわけではない。嫌なわけでは決してないのだけれど。