祈りの家を隠すように、又は縛るように
白を纏った野薔薇が生い繁る。
入り口付近の外壁には薄汚れた小さなプレートが嵌め込まれており
「九夜山勿忘草教会」という文字が刻まれているのが確認出来る。
この教会の正式名称らしい。
…そう、なの…?
(困惑した表情で小首を傾げ)
で、でも。
普通は面倒だとか鬱陶しいとか気持ち悪いとか…。
そうじゃなくても、驚いたり困ったりするもの、なんじゃ……。
(少なくとも、少女には過去そういった言葉や
そういった反応を受けた経験がある。
いや、少女の過去の生育環境自体が
普通とはかけ離れたものではあるのだが
そういった経験が確かにあるのだ。
しかし、目の前の彼の様子を見ていると
どうもそれが普通なのか自信がなくなってくる。
言葉も段々尻すぼみになり…。)
…白露さんって、もしかしなくてもかなりお人好し…?
あ、うん。そう。離れないと。
誰か人が来たら付き合ってるとか
白露さんが私の恋人だとか勘違いされちゃう…。
(そういっていそいそと離れようと)