祈りの家を隠すように、又は縛るように
白を纏った野薔薇が生い繁る。
入り口付近の外壁には薄汚れた小さなプレートが嵌め込まれており
「九夜山勿忘草教会」という文字が刻まれているのが確認出来る。
この教会の正式名称らしい。
……っ…っく……。
(「人前で泣いてはいけない。」と
普段から自分を厳しく責め立て
必死に律しているにも関わらず涙は止まらず。
いや、そのせいか。
ひたすらに優しい声が、手が、存在が嬉しくて。
…もっと欲しいと思ってしまう。
自分にはそれを求める権利も、資格も
そんなものはなにも、持ち合わせてはいないのに。)
っ…白露さん、もっと…。
ぎゅっとして…。抱きしめて…っ…。
(嗚咽交じりにそんな我儘を言う)