祈りの家を隠すように、又は縛るように
白を纏った野薔薇が生い繁る。
入り口付近の外壁には薄汚れた小さなプレートが嵌め込まれており
「九夜山勿忘草教会」という文字が刻まれているのが確認出来る。
この教会の正式名称らしい。
あ、あれ…?
(瞳にじわりと涙が滲みポロポロとこぼれ落ちる。
困惑した表情で目尻に手を当てるも
涙が止まることはなく)
…私、なんで泣いてるんだろ…。
ごめんなさい、今泣き止むから…。
(俯き、叱られることに怯える幼子の様な声でそう言って
手で涙を拭い、必死に泣きやもうと)