重厚な扉を開けると、穏やかなランプの光に照らされた店内。
年代物の赤い絨毯や飾られている絵画からは
店が古い屋敷の趣をそのままに取り入れていることがよく分かる。
棚やテーブルにはハーブティーの缶や、ハーブを使用したバスセットが並べられている。
「よくぞ参られたな、ここは魔女の集まる場。汝にふさわしい物が見つかるとよいな」
扉を開けた貴方の目の前に現れるのは一人の「魔女」
仮面をつけたその顔で微笑み、店内へと戻っていく
◆
買い物RPをしたりのんびり雑談をしたりする場所です
※オカルティックなアイテムをお探しの場合は魔女と一緒に
まずそれがどこにあるのかRPする所から始まる可能性大です
よく「魔法みたいに」って言うけどさ。魔法ってそんなに簡単で便利で万能なのかな?
修行とか儀式とか道具とか、いろいろ必要で、かえってめんどくさい場合もあるんじゃないの?
魔法がうまく使えなくて失敗する魔法使いの話なんかもあるし。
あたしの持ち合わせで良ければ、ハーブティーあるよ。
(バッグから水筒を取り出す)
自分用のだからそんなに特殊な成分は入ってないけど。
まあ、そうよね。
…大丈夫。わかってるから。
話過ぎたせいか喉が渇いてきちゃったわ。
紅茶と…後、甘いケーキが食べたい。
私が魔法使いなら一瞬で用意できるのに。
魔法が使えないって不便でいけないわね。
危なくない薬なんてないよ。
薬ってのは心身に影響を与えるモノで、その影響力は、弱すぎて効かなくてもいけないし、強すぎて効きすぎてもいけない。そのへんの、文字通りの匙加減が難しいんだ。
まあ、人体実験できる段階まで行ってたら、大体の量の見当は付いてるんだけどさ。
ちなみに人体実験する前の段階っていうのは……まあ言わないほうが良いか。
ジョークなの?
危ない薬とかじゃなければ喜んで実験台になるのに…。
じゃあ、新しい薬の実験台にでもなってもらおうかな?
なんてね。薬屋ジョーク。
この島は、奇跡の起こる島だから。
私もそういう噂を聞いてこの島に来たの。
庵さんの事、応援してるわ。
私になにか手伝える事があったら言ってね。
この島でなら、奇跡の発明ができるかも、って思ってるんだよ。
初めてこの島に来た時、九夜山で、あたしの知らない変な植物を見つけてさ。
仕事柄ハーブなんかも扱うから、一般的な野草ならほとんど見分けられるんだけど、あれは見た事もなかった。
(PL注:神魂の影響を受けた植物。庵は「ひと」なので、もれいびやろっこんについては何も知りません)
それ以外にも、この島には何か、あたしの知らない不思議な物事があるんだと思う。
だからこの島に引っ越してきたんだ。
まあ。素敵。
世界的な大発明ね。
…そう?
今も前とそんなに変わっていない気がするけれど…。
でも、いい事はあったかな。
ハハハ、照れちゃうな。ありがとね。
今メインで研究してるのは「風邪の特効薬」だよ。
風邪薬として現在一般的に売られている薬は、解熱剤とか咳止めとか、風邪の症状を対症療法的に治すもので、風邪の原因のウイルスを直接にやっつけられるわけじゃない。
だから、それを作ってみようと思ってるよ。
一時期は不安定だった気がするけど、最近のあんたは良い表情をしてるね。
なんか良い事でもあった?
まさか。監禁なんてしないわ。
そんな事をしたら可哀想だもの。
そんなことはないわ。
少なくとも私から見た庵さんは
尊敬するに値する立派な大人よ。
そういえば、庵さんは今どんな薬物の研究をしているの?
大切にしてるつもりなら、きっと大切にしてるんだと思うよ。
大切にしすぎて監禁とかそういう方向に走ってない限り。
いやいや、あたし「視野の広い立派な大人」なんかじゃないから。
薬物マニアだし、割とダメな部類だと思うよ。うん。
大切に…しているつもり。
あまり自信はないけどね。
素直な気持ちを言っただけなのだけれど
私、何か変なこと言った?
うーん、外野であたしらがいくら相談しても、最終的には本人が決める事だからねえ。
へろへろになりながらでも酒屋をやりたいって言うんなら、止める事はできないよ。
そっか。そうだね、彼女があんたの中で大切な存在なら、大切に扱ってあげなよ。
どうしたの? 急に持ち上げてくれちゃって。
あたし、まだハタチなんだけどなー。
…まあ、そうよね。
でも、やめておいた方がいいなんて
私にはとてもじゃないけれど言えないもの。
四六時中傍にいることは出来ないにしても
私に出来る限りのことはしてあげたいの。
これでも朱蘭の親友だから。
…私はやっぱりまだ子供ね。
庵さんの様な視野の広い立派な大人になるには
一体どうすればいいのかしら。
ハハハ、向いてないな、そりゃ。
魚アレルギーの寿司職人くらい向いてない。
やめといた方がいいんじゃないかと思うけど、なりたいんならしょうがないね。
あんたが四六時中そばにいるわけにもいかないでしょ。
酒は基本的に密封されて売ってるものだから、酒屋だから酒のにおいが充満してるってわけでもない。酒蔵まで買い付けに行く時とか、どうしても必要な時だけ自己暗示でごまかせばいいんだよ。
ていうか、それ、朱蘭の話だよね?
実家の酒屋さんを継ぎたいんだって。
だけど、お酒の匂いだけでも酔ってしまうらしくて。
自己暗示は確かにいい方法かも。
ありがとう。
暗示が効きすぎたら…出来る限り私が止めればいいかな。
悩むほどの問題かな? 酒なんて飲まなくても生きていけるでしょ。
まあ、酒を飲む目的によるかなー。
純粋に酒の味を楽しみたいなら、酔うほどまで飲まなくてもいいだろうし(味見レベルでもダメって体質の人もいるけどね)、
酔って騒ぎたいんなら、シラフで酔っ払いのテンションについていけるようなメンタルトレーニングでもするといい。
酒の力で嫌な事を忘れたいなら、別のストレス解消法を探した方が早い。
ああ、体質そのものは変えられないけど、自己暗示はある程度の防御策にはなるかもね。
暗示が効きすぎたら、体に異常が起きるレベルまで平気で飲んじゃうかもしれないけど。
恋人は残念ながらいないわ。
私の友達がその体質のことで悩んでいてね。
私も将来お酒を飲む様になるだろうし
改善に役立ついい方法がないかを探しているのよ。
体質が変えられないなら、別の方法でなんとかするしかないわね。
面白い話しろなんて言ってないさ。あんたが話したいかどうか、それだけ。
酒? うーん、慣れはある程度あると思うけど、先天的な体質の問題が大きいからなあ。
飲めない体質の人間はどうやっても飲めるようにはならない。
酒を飲めない体質ってのは日本人独特らしいね。
酒を飲めない遺伝子が偶然日本で発生して、それが日本中に広まった結果、酒の飲めない日本人が今みたいに大勢いるようになったらしい。
って、よく考えたら、あんた未成年でしょ。酒に強くなる方法は二十歳になってから聞きに来なさい。
それとも、成人で下戸の彼氏でもできたの?
もしかしたら聞いて欲しいのかも。
でも、黙っていることにするわ。
大して面白い願いでもないしね。
じゃあ、別のお話をしましょう。
庵さんはお酒に強くなる方法って知っている?
御呪いでもなんでも良いのだけど…。