酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
…末の姫は、その身心がどれ程痛もうとも
泣き声一つあげることなく耐え忍び
愛しい兄達の呪いを解くために
イラクサで十一枚のシャツを織る…。
心根が強く、そして優しいお姫様。
私の理想よ。
…私は駄目ね。
冠を二つと作らないうちに泣き声をあげたりして。
今の私は弱すぎる。
もっと…。もっと強くならなくては…。
(手を休めることなく動かし続け
茨の冠を織り上げながら言葉を落とす)