酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
うん。凄いの。
私が辛くても笑おうって思えるのは
その人のお陰なんだ。
勿論、他の人達のお陰でもあるけど
その人がいてくれなかったら
自分が色んな人達に大切にしてもらえていることにも
きっと気がつけなかったから。
…だから、感謝してるの。
「目の前の一個一個に」か…。
うん。そうしてみる。
私、前を向こうとすると今じゃない
ずっと先の事ばかり考えて
不安になったりとか、しちゃうから…。
きっとそれが、良くないんだろうね。
(動揺する市子さんの様子に
くすくすと小さく、楽しげに笑って)
ふふ。やっぱり、市子さんにもいるんだね。
逆走かどうかなんてわからないじゃない。
そうした事が後になって
いい結果に繋がることだってあるし。
…うわ。今の私なんか凄く偉そう。
変なのぉ。あはは。
(誤魔化すように明るく笑って
割れたステンドグラスを見上げる)