酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
貴方はこの教会と天使様のことも美しいって言ってくれるのね。
嬉しい…。ありがとう。
天使様は、この世界が好きなの。
だから、人に忘れられてひとりぼっちになってしまっても
この世界の幸福を、ずっと祈ってくれているの。
この間、天使様がそう私に教えてくれたわ。
私と天使様が似ている様に見えるのは…。
私も今よりずっと昔に、天使だったからかもしれないわ。
うん…。
貴方ってきっと、優しい人なのね。
そんな風に言ってくれる人って、中々いないもの。