酷く荒れ果てた礼拝堂。
争いの跡が色濃く残されており
床には割れたステンドグラスの破片が散乱している。
教壇の下には隠し扉があり
そこから地下室へと降りられる様だ。
中央にぽつりと佇む薄汚れた天使像は
どこか泣いている様にも見える…。
『祈り事によっても、見え方が変わってくるのかもしれませんね』
『それでも、涙しているこの天使像は』
『ちょっとだけ綺麗にも見えますよ』
『後ろ向きのままじゃいつまでたっても明日は見えませんから』
『辛い時もありますけれど、この島の人は皆さん力を貸してくれます』
『後押ししてくれる 幸せな事です』
『どうか冴来先輩にも、その願いが近づけますように』
(冴来さんに抱えられた兎が眠たげに眼を細めている)