陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
私はアリスではなくて、ただの黒猫よ。
私が迷い込むのはいつも
愉快な不思議の国ではなくて
冷たく暗い闇の世界だもの。
血の匂いがする非日常は心地いい…。
人を殺しても赦される世界で私は生きたい…。
怪我は避けられないでしょうけれど
精々死なないよう気をつけて。
死を望むなら、誰にも見つからないような場所で
私が止めをさしてあげるわ。
(くすくすと笑いながら