陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
瓢はチェシャ猫も似合いそうだけれどね。
不思議の国の住民は、誰も彼もが気狂い揃い…。
そこに迷い込む者もまた気狂いだわ。
(くすくすと笑いながら
別段妙ということもないでしょう?
私は非日常が好きだもの。
フツウは壊す為にあるのよ。
瓢は人が闘う滑稽な姿を見物しに来ているのだと思うわ。
私も似たようなものね。
ここにくると、破壊衝動が疼く…。
何もかもを壊してしまいたくなるわ…。