陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
…。
(蹴りを避ける様子をみて安堵の溜息をつき
残念だけれど恋人ではないわ。
ただの友人よ。
(肩を竦め
余所見だなんて随分と余裕ね。
勝負の相手から目を逸らさない方が
いいのではないかしら?
…あの人と一緒に行くつもりでいるのなら
こういう光景にも慣れないといけないわよね…。
(極小さな声でぽつりと呟く