陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
お、今のを避けるか。
本気じゃないにしても充分狩る気で蹴ったンだが。(心底意外そうに)
こう見えても実家が空手屋でね。
そう言うテメーは……(相手の体格、骨格、筋肉量、所作振舞い等々を観察し)
……やっぱどう見ても素人だよなァ。
素人は素人でも実戦経験のある素人、ってトコか。
ゲーム。ゲームねぇ。
よしよしそれじゃあこうしようぜ。
(そう言って彼我の距離を十歩分ほど空けると、構えもせずにクイクイと手招きして)
さ、今の不意打ち一発分のお詫びだ。どっからでも打ち込んできな。
あーそれとそこの金髪美少女、アンタこのゴーグル仮面の彼女?
もしそうならなるべく優しく綺麗に倒すよう工夫するが。
(と、花風の方に顔を向ける露骨なまでのよそ見)
(レフェリーのコールに対してはチラと視線を向け、軽薄にニヤついたまま軽く頷いた)