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人形の横顔を赤く照らす蝋燭が絶えて、残る灯火はふたつばかり。
光の在り処を自身の側と、もう一人、茶髪の男子高校生の側に見て、
樹弥・エヴァンズ
は湖水色の勝気な瞳を闇が濃霧のように溜まる座敷に巡らせる。残る語り手は自分を含めてあと二人、ということなのだろうか。
(あいつ、居ないじゃん)
それに、どうしてだろう、蝋燭の光が足りない気がしてならない。暗闇の中にもう一人、語り手がいるはずのような、そうでないような。
腹の底にもやもやとわだかまる不審を払い除けるべく、樹弥はうなじで結った金の髪を激しく揺らして首を横に振る。もう一人の語り手である高校生のお兄さんがお先にどうぞと水を向けてくれたのを契機に、大きく深呼吸する。
「水道水の匂いだとか、雨の匂いだとか、ただの水でも結構匂いってあるじゃん?」
皆の話を聞きながら、こう話し出そうと決めていた語りだしの文句を口にする。暗闇の中にあっても感じる人々の視線にも怯まず、明るい水色の瞳を細める。
「でも何時もはそんな事を気にしたりしない」
話しながら、思う。暗闇から向けられる視線は全部が全部、確実に生きている人のものなのだろうかと。
「これから話す奴もそうだった。そいつはそれまで気にしたことのない匂いに、ある時気付いた」
視線を巡らせる。蝋燭が燈っているのは己の側ともう一人の高校生の側のみ。肩越しに振り返れば開け放たれた障子の向こうの廊下に並ぶ灯篭が見えるけれど、広い座敷にふたつきりの光は如何にも頼りない。
「自分の家の水は何だか変な匂いだって」
廊下の足元を照らす光に辿り着くまでには、どれくらいの暗闇を駆けねばならないのだろう。そこまで考えて、どうして逃げることばかり浮かぶのだろうと首を傾げる。
「でも、家族はそんな匂いはしないというので、そいつはその時は気のせいだと思ったんだ」
己の声に怯えはない。
「……だけど」
どこまでも淡々と、何かに操られるように、まるで自分が喋っているのではないかのように、
「それから何日たっても、どこかへ出かけても、その匂いをかぐことがあったんだって。決まって、水の近くで」
樹弥は水に纏わる怪談を語る。
「流石にそいつも気のせいじゃないって、考えてさ。考えて考えて……思い出したんだ」
溺れる誰かが最後の息を吐き出すかの如く、小さく洩らす。
「その匂いは、最初に家で嗅いだ時よりも前にどこかで嗅いだ事があるって」
己の発した言葉につられて鼻先を暗闇に向ける。熱を帯びた蝋と古い畳のにおいに混じって、水の匂いを感じた気がした。
「ずっと小さな頃に嗅いだ、近所の森の中の沼の匂いだって」
苔の。
泥の。
虫や獣の。
それら全ての混ざり合ったその匂いが、語り手であって体験者でない樹弥の知るべくもないその匂いが、己にまとわりついている気がして、樹弥は息を詰める。もう口を開かぬ方が良い、と心の何処かが喚くも、唇は何かに誘われるかの如く言葉を紡ぎ続ける。
「……いつからだ? この匂いが始まったのは」
そうだ、と夢にうなされるように囁く。
「そうだ、あの沼から死体が上がったってニュースを聞いてからだ」
そうだ、と確信を得て強く肯う。
「そうだ、あの子が自分を呼んでいるんだ。だってあの子をあの沼に置いてきたのは……」
最後の言葉が出るよりも先、ふくふくとした尻尾を振り回して畳を駆けてきたふくふくの三毛猫が躊躇いなく樹弥の膝に飛び乗った。
「えっ、うわっ?!」
悪夢から覚めた瞳で、樹弥は瞬く。膝に縋りつき撫でろと要求する三毛猫のふかふかの胴体をそっと撫でる。
「がおー?」
三毛猫の主らしい活発そうな女子高生が申し訳無さそうに樹弥の膝から猫を片手で抱き上げる。そうしながら、もう片手でデジタルカメラのシャッターを切る。
「そのお話を聞かせてくれたお友達はどうなったのだ?」
女子高生に恐る恐る問われ、樹弥は座敷を一瞬照らしたデジカメのフラッシュに眩んだ眼を手で擦りつつ憮然と息を吐く。
「……さあ、俺はしらない」
瞳をごしごしと尚も擦り、樹弥は小さく首を傾げる。
(あいつはまた来ないのかな)
傾げてから、
「……あれ?」
気付いた。
「あいつって、誰だっけ?」
手にずっと大切に握り締めていた『あいつ』からの手紙が、音もなく畳に落ちる。話を終えた樹弥が炎を消せば、落とした手紙は樹弥の目に触れることなく闇に紛れた。
「さて、俺の番さね」
たったひとつ残った小さな光の下、
霧谷 朧
は鼻先までも覆う髪の下から周囲に渦巻く暗闇を眺める。座敷に唯一残った光が手元にあるせいで、自分以外の全てが闇に呑まれて見えた。
それでも不思議と感じる不特定多数の視線が怖くて、朧は胡坐の膝に視線を落とす。
「仲間と久々にかくれんぼしてたんよ。旧市街の方は自然が多いし、かっこうの遊び場さね」
訥々と、語り始める。
「俺は隠れるのが上手でなかなか見つからなかった」
みーつけた、と朧は鬼の声を真似る。
「そろそろかな、とか思いながら待ってたけど、鬼はなかなか来ない」
近くに隠れていた仲間が見つけられ、笑いながら外に飛び出してゆく。自分だけが鬼に見つからぬ優越感は、周囲に黄昏闇が迫る頃になって寂しさに染まった。見つけてもらえた子への羨ましさに変わった。
「退屈さに手で顔を覆っている時に、聞こえたんよ」
朧は顔を両手で隠す。黄昏の町のどこかから聞こえてきた鬼の声をゆっくりと口にする。
「もういいかい?」
あの時はその声が友達の声だと思った。だから応えた。
「もう、いいよ」
弾んだ声を出して、――瞬間、周囲の人々がざわめいた。誰かが驚きの声をあげる。誰かが腰を浮かせかけて誰かに止められる。
朧は構わず話を続ける。
「それからすぐ友達が来たけど、なぜか目の前にいる俺に気づかないんだ」
立ち上がる。光の傍を離れ、座敷をゆっくりと歩き回る。
「家に帰るころには周りから見えるようになって友達にも気づいてもらえたんだけどさ」
話しながら畳を踏む。歩き回る朧の姿がまるで見えていないかのように、座敷に集う人々がそれぞれに怯えた仕草をする。楽しげな声をあげる。
己のろっこんで人々をからかって、朧はクスクスと笑う。
人の目に映らない透明人間な己を、人はどう思うのだろう。
小さく息を吐けば、腹の底が冷えるような恐ればかりが残った。部屋の隅で小さくうずくまり、黒揚羽蝶の翅じみた不思議な瞳を丸く見開くこの場で一番幼い少女の頭をそっと撫でて、朧は光の下に戻る。
「それで聞いた話を思い出したんよ」
元通りに畳に座り、話を続ける。
「時々いるんだとさ、寂しくて仲間が欲しくてそうやって連れて行っちゃう奴が。夕暮れ時はあちらとこちらがつながりやすいから連れていかれちゃうんだと」
あと、と悪戯っぽく付け加える。
「こういう話をしている時も特に、……だってさ」
光の下から暗闇に向け、朧は囁きかける。
「もういいかーい?」
しばらく口を閉ざして耳を澄ますも、返事は無い。怯えたような沈黙が妙に怖くなってきて、
「これで俺の話は『おしまい』」
それを振り払うように朧はろっこんを解除させる言葉を口にする。
「あれ? みんなどうしたんさ? 俺の話そんなに怖かった?」
そうして、何事もなかったかのように笑ってみせる。
「それとも俺になんかあった?」
クスクスと笑い続けながら、手元の蝋燭の炎を吹き消す。
座敷を危うく照らしていた光が全て消える。降りかかる闇と共、訪れるやもしれぬ怪異を探して、誰もが唇を噤む。数瞬の静寂の後、
「不思議な話が聞きたいって不思議な手紙に書いてあったのですー」
場違いなほどに明朗な、だからこそ静かな恐怖心を掻き立てる声が座敷の真中から響いた。
「だ、誰なのだ何なのだっ?!」
後木 真央
が喚きたてつつデジカメのシャッターを切る。一瞬の眩い光に浮かび上がったのは、誰も気づかぬまま、いつの間にか座敷の央にちょこんと座る幼い少女。
一点の汚れすらない純白のワンピースに包んだ小柄な体に波打つ長い銀髪を纏わりつかせて、少女はフラッシュの光に銀色に見えた瞳を周囲に巡らせる。
「ゼロはゼロなのです」
百物語の末の怪異にしては可愛らしいその少女は、さらさらと衣擦れの音立てて首を傾げる。
「ゼロは聞いたことがあるのですー」
人々の驚愕も視線も、消すべき蝋燭の光が隠されていることも何のその、
ゼロ・シーアールシー
は衣服と同じに僅かの曇りもない声で物語る。
「あるところに白い服で銀の髪の女の子が居たのです」
光の絶えた座敷に、ぼうやりと白銀の少女が浮かび上がる。
「その女の子のもとに一通の、不思議な手紙が来たのです」
ゼロと名乗る少女が語るは、まるきり今日のこの日の出来事。
「寝子島の不思議なお話を聞きたいということと、日時と住所がその手紙には書かれていたのです」
演劇の小道具じみて、ゼロは和紙の手紙をどこからか取り出す。白磁の頬を僅かも緩めず、光帯びれば銀の色となる薄墨の瞳を真直ぐにもたげる。
濃霧の如く視力を奪う暗闇の先に、一抹の怪異も現わさずに佇む黒髪着物の日本人形。
「女の子はその手紙に招かれることにしたのです」
手紙にあった住所には古い廃屋があった。同じような手紙に招かれた、何人もの人達が集まっていた。
「廃屋に集まった人たちは一つずつ怖い話や不思議な話をしていったのです。そして女の子の番が来たのですー」
ゼロは物語る。女の子は語る。不思議な手紙によって廃屋に集められた人たちの物語を。彼らが話した怪談や不思議な話を。その様子を。
それはそのまま、この場に集うた人々が話した話とそっくり同じ。
合わせ鏡の前に引きずり出されたかのように、人々は凍り付いて動けなくなる。瞬きも出来ず、己の目前の闇を見つめる。滑らかな水面にも似た暗闇に浮かび上がって、消したはずの蝋燭に次々と蘇る幻の炎。
月詠と真理が隠した蝋燭の数を上回る、数十数百の青白い炎が一斉に座敷に揺れて、――けれど、一度生者の手によって覆された降霊儀式は、そう簡単には復元できない。
人形がナニカに押された格好で前に倒れる。少女達に整えてもらった黒髪が乱れて畳に広がる。座敷に林立する消された蝋燭の燭台が、癇癪起こして暴れまわる子供に薙ぎ倒されるようにバタバタと倒れる。
その場に集うた人々のそれぞれの耳元に幼子の啜り泣きと囁きが吹き込まれる。
――はいれないの
――たりないの
――ねえ、はいらせてよ
「いやッ……!」
「あいやー!」
「うぅッわー! わーッ!」
座敷に満ちる賑やかな悲鳴に、座敷に集まろうとしていた異様な気配は霧散する。誰かが取り出した懐中電灯の光が座敷のあちこちを照らして回り、誰かが怖かったなあと笑えば、怪談会は大団円。何事も無かったかのように、三々五々、人々は帰途に着く。
最後に語った白銀の少女のことなど、不条理にも空気のようにすっかり忘れて。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
ホラー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月06日
参加申し込みの期限
2015年07月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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