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傍らで光を揺らしていた蝋燭が音を立て煤を吐いた。
緩く波打つ黒髪を震わせ、
城山 水樹
は怪談を終えて暗闇に紛れようとする女の背中から視線を外す。不意の物音に怯え、思わず立ち上がりかけた動作を誤魔化して、冷静な表情を取り繕う。次は己が語る番とばかりに立ち上がり、数歩前に出る。光点る蝋燭差された燭台を引き寄せ、近くに座す人々に己の動揺が伝わらぬよう、そっと胸を上下させる。
黒眼がちな瞳を上げ、真直ぐに座敷の奥の人形を見遣る。
「あれは、私がバスケ部をケガで辞めた高校二年の夏休みの話よ」
震えそうになる声を落ちつかせて話し始めるのは、三年前に実際に体験した現象。
「私の家は旧市街で古本屋をやっててね……」
父母が営む小さな古本屋で、あの日も看板娘として店番に立たされていた。夏休みの入り、しとしとと雨の降る客足途絶えた黄昏時、
――ご迷惑をお掛けいたします
黒い傘を差した喪服姿の女が戸口に立った。
戸口から店の奥まで続く古本の山を物珍しげに眺めていた女は、応対に出た水樹に深々と頭を下げた。
「寝子島神社近くの屋敷に住んでいた旧家の当主が亡くなって、その人が遺した大量の蔵書の幾らかをうちが引き取ることになった」
父と共に下見に向かった水樹が見たのは、蔵一棟を埋め、更に屋敷の数部屋すらも埋める本の海。
「とにかく量が多かったので、一家総出で本を整理したの」
手伝いに駆り出された兄と弟が、膨大すぎる書物と盛夏の暑気にうんざりした顔を見せていたのを覚えている。
陣頭指揮を執る父からお願いねと割り当てられたのは、蔵の一角。古びた階段箪笥を上った先の、まるで秘密基地のような二階部分。
分厚い壁に囲われ、夏の暑さも外のざわめきも届かぬ蔵の一角には、小さな文机の周りを埋めて、数百冊もの本。
ひんやりとした静謐な空気と溜め込まれた本の匂いを、今もよく覚えている。
「整理が終盤に入ったある日、私は整理に飽きて、適当に手に取った本をパラパラと捲っていた」
古い詩集だったわ、と水樹は黒い瞳を細める。
日の差さぬ蔵に仕舞われていたためか、保存状態はとても良かった。
「しばらくしたら、どこからかページを捲る音がしてね」
水樹は緩く首を横に振る。あの日、蔵の中には同じく母から整理を命じられた兄や弟が確かに居た。
「家族の誰かが私と同じように気分転換に本を読んでるのかな、って……気にしなかった」
でも、と膝に置いた掌を握る。
「でも、ページを捲る音が段々乱暴になってきて」
蝋燭の光を集める人形の白い顔が、黒い瞳が、そんなはずはないのに話に聞き入って薄く笑んでいるかのようにも見えて、水樹は思わず瞳を伏せる。あの時もそうだった。
「うぅ、うぅ、って。呻き声のような泣き声のような声が真後ろでするものだから、……怖くて振り返られなかった」
怪談話らしい怪談話に、座敷の誰かが掠れた声で悲鳴をあげる。
「そうこうするうちに、私が読んでいる詩集の詩文を誰かが朗読し始めた」
冷えた息すら耳に掛かるほどに近いその声に、蔵中に響き渡るその声に、首筋が凍った。背筋に稲妻じみた寒気が走った。
「思わず振り返ったけど、誰も居なかった……」
水樹は首をそっと横に振る。座敷をぐるり見回し、艶やかな笑みを浮かべて見せる。
「そこで目が覚めたの。どうやら本を読んでいるうちに寝入ってしまったのね」
真夏の太陽のような鮮やかな笑み浮かべたまま、蝋燭の火を吹き消そうとして、水樹はふと言葉を紡ぐ。
「後日、その詩集は亡くなった当主が一番気に入っていた本だと判ったので、……それはお返ししたわ」
詩集を返すべく屋敷を訪ねて、門から出て来た女に本を手渡した。
――ご迷惑をお掛けいたしました
あの日、店に訪ねて来た時と同じに黒い服を纏うた女は、あの日とほぼ同じ文句を口にし、同じように深々と頭を下げた。
水樹を襲った現象を予見していたかのように。
蝋燭の光がまたひとつ消える。晩秋の空気に在って真夏の明るさ帯びた水樹が座敷の端に引くのを楽しげに細めた薄墨の瞳で眺め、
音羽 紫鶴
は流れる仕草で立ち上がる。如何にも自然に水樹の後を継ぎ、未だ燈る蝋燭の光の輪の中にゆったりと寛ぐ。
千夜のうちの一夜を物語るように艶めいた、それでいて品の良い声を暗闇に響かせる。
「僕の家はとても古い家なのだけれど、古い家には色々とそういう話が集まってね」
今は暗闇に黙する、先ほどの語り手へ視線を流す。
「僕の家でというわけではないのだけれど、とある裕福な一家の話をするよ。特別な噂があった、その一家の顛末をね」
紫鶴は挑むような瞳を正面の人形へと向かわせる。
「その昔、一家はとある神様を助け、それ以来尽きぬ富を得た」
でも、と紫鶴は忌むべき話をするかのように声を潜める。
「その数百年後、一家は没落した。かつて本家が存在し大勢が暮らした地には、今はもう誰も居ない。いつの間にか、誰も居なくなってしまった。……何故だと思う?」
周囲の沈黙に促され、紫鶴は淡く笑む。僕の聞いた話ではね、と伝聞を強調する。
「彼らは数年に一度、神様に生贄を捧げていたんだって。直系の子供ではなくても、自分達の血を引いた者をね」
「それは真実なのか」
蝋燭の光が数本残るばかりとなった闇の奥から掛けられた、どこまでも冷静さを失わぬ少年の声に、紫鶴は笑みを深める。からかうように人差し指を唇にあてる。
「全く本当かどうかわからないけどおぞましい話だろ」
本家の奥座敷から続く洞穴の最奥に、一族が助け一族に繁栄もたらした神は祀られていた。生贄に命じられた血族の者は、白装束のみを纏うた他は寸鉄さえ帯びずに闇統べる洞穴に押し込まれたらしい。
入り口を分厚い扉に閉ざされた真の暗闇の内に、彼らは何を見たのだろう。
数日を置いて開かれた扉の奥には、生贄となった者の無惨な遺体が転がっていたと聞く。無慈悲な牙と爪に面白半分に裂かれ、食い散らかされた、骸。
「数百年ばかり、そんなことが繰り返された。生贄とされた者を大切に想う縁者達が一族に反旗を翻すことも幾度となくあったけれど、結果は総じてまぁ無惨なものでね」
伝奇じみた物語に惹かれる人々の視線に僅かも怖じず、むしろ心底愉しみながら、語り手たる紫鶴は唇を歪める。己の首に手刀を当てる。
「本家に逆らった人々は皆、惨殺された。生贄と同様に身を裂かれ、臓腑を引き出され、……本家の人々は神の怒りによるものと宣うたが、さて、真実はどうだろうね」
黒髪を揺らして首を傾げ、そうして背筋を正す。物語を締めにかかる。
「ある時からその一族に不思議な事が起こり始めた」
暗闇に凛とした冷たい声が響く。
「最初はね、小さな子だったらしい」
本家の庭で遊んでいた幼子が、ほんの一瞬目を離した隙に忽然と消えた。庭には幼子が戯れていた鞠が転がるばかりだった。
当然、一族郎党総出で探し回った。広大な庭も、その頃には集落のようになっていた一族の土地も。捜して捜して、捜さぬ場所は神の領域を残すばかりとなったそんな時、
「神座す洞穴の固く閉ざされた扉の前に、ある日、その子が見つかった」
うっかり安堵の息を洩らす暗がりの内の誰かに向け、紫鶴は意地の悪い微笑みを見せて付け足す。
「生贄にされた者たちとそっくりな、無残な姿になってね」
始まった惨劇は一度で終わらなかった。一人消えては苦悶の表情浮かべた首だけとなって戻り、また一人消えては纏うていた着物の他は原型残さぬ肉塊となって戻り、――その総ての遺体は、神座す洞穴の扉の前に据え置かれた。
繰り返される殺人に一族の者達は怯え、狂うた。
「……狂ったのは、神か人か。栄華極めた一族はみるみる衰退し、そしてついには誰も残らなかった」
どうだろう、と紫鶴は正面に位置して身動ぎも見せぬ人形を見つめる。
「この話、君は楽しんでくれたかな?」
蝋燭を吹き消す一瞬の揺らぎのうちに、人形の影がふわりと膨れ上がって見えて、けれど紫鶴は小さな笑みを浮かべて次の語り手に場を譲る。
「縁者に聞いた話だ」
怜悧な声を発するは、先ほど物語の真偽を問うた栗色の髪の少年。
「君の話と、少し似ているかもしれないな」
人形の脇に座したまま、
八神 修
は語りを終えた黒髪の少年に視線を向けて微笑みかける。どこかしら揶揄するような会釈を返されて、けれどそれはさらりと受け流し、修はかつて耳にした伝承を静かに口にする。
「件という妖怪を知っているか?」
「半人半牛の怪物だな。牛から生まれて死ぬまでのうちに予言をするとか、凶事の前触れとして生ずるとか。確かそんな妖だったか」
旅鴉 月詠
の流暢な説明に、修は内心舌を巻きながら頷く。
「聞いた話によれば、とある家はその骸を祀っているらしい。……その骸が、予言の根源たる『予現の力』を持つが故に」
その骸が発する言葉と声は、未来を歪め、本来は虚言であるはずの言葉を先の未来で真実とするらしかった。
「戦争を『予現』すれば戦争が、地震なら地震が、必ず現となる」
その力を時の権力者達が求めぬはずがなかった。人ならぬ力求むる権力者の手に追われ、件の一族は流浪に流浪を重ねたその果て、何処かの国に逃れついた。
「件祀る一族が流れついたのは、今の地名に言う――」
修はそこで一度唇を閉ざす。声の代わり、小さな息を吐き出し首を横に振る。
「県名は伏せよう」
「何でなのだ?」
傍らでじっと聞き入る
後木 真央
に、修は唇を引き結んだまま静かに笑みかける。手を伸ばせば届く位置に立つ人形へと視線を移す。
「件の言葉は全て災厄。なれば『予現』たる予言は防がねばならない。だが、障りがある為捨てるも能わず」
詩を吟ずるかのように、修は言葉を紡ぐ。
「骸の声を聞く能力者が今も御霊をお慰めし鎮めている。俺はそう聞いている」
さて、と修は声を明るく転じる。顔をもたげ、一重の瞳で場に集う人々を確かめる。
「能力者が死ぬ前に、後継者を探すため、素養有る者を集めるという」
上座に己らが祀る件の骸を据え、何も知らず集うた者たちにその場で一晩を過ごさせる。
件の声を聞き顕した者は一族の手により浚われるという。
修はポケットに隠した不審な手紙に指先で触れる。後継者を探す一族の者は、目星をつけた人々に文を届け、現実とは世界を違える古家に後継者候補を集めるという。
(もしやここかと思ったのだが……)
「誰も何も聞こえてはいないな?」
鋭く確かめるように闇に沈む人々に問いかけ、応じる声を認めるよりも先、唇に指を押し当てる。
「もし君達が件の声を聞いても、口に出してはならない」
厳しい表情でありながらも諭す口調で、修は続ける。
「件の持つ強い言霊の力が作用して、『予現』になってしまう」
上座に位置する人形の身のうちに件の骸が隠されているかもしれぬ万が一を危惧し、修は一族の後継者探しを邪魔立てしようとしている己の身の危険は一顧だにせず、人々に告げる。
「話してはならない、書いてもならない」
でなければ、と厳かに、まるで予言するかの如く告げる。
「災厄を呼ぶことになる」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
ホラー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月06日
参加申し込みの期限
2015年07月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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