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寝子島は撮影されている ~レンズ・キャッツ捕獲要請
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【標無き】
目の前に、深く、鮮やかな青。小魚たちがひらひらと身を翻すたび、きらりと鱗が光を返し。その合間をゆったりと、エイたちがまるで翼をはためかせるように、優雅な泳ぎを披露しています。
そっと、
朝鳥 さゆる
は自身と青い世界を隔てるガラスへと指を触れ、ひと時、その光景に没入します。
寝子島マリンパラダイスを訪れるのは、久しぶりのことです。前回はひとりで、同じようにこうして水槽の前に立ち、そっと指を触れ……ひたすらにじっと、魚たちを見つめていました。館内放送が閉館の時を告げるまで、じっと、ひたすらに。
水槽に、出口はありません。魚たちは閉ざされた空間の中を、ぐるり、ぐるりとただ泳ぎ続けるだけです。
さゆるは思います。魚たちは、疑問に思うことは無いのだろうか、と。
どうしても、重ね合わせて見てしまうのです。行き場所の無いまま、ぐるり、ぐるりとたださまよい続ける自分と、彼らを。馬鹿な思考だと分かっていても、そうすることを止められないのです。
魚たちにはきっと、自らの境遇に思うところなど無いでしょう。そんなつまらないことに思い煩うことなど無いでしょう。ならば一体、自分は、何なのだろうか? 自分は一体、どこへ行きたいのだろうか?
「確か……スマホのワンセグ機能を使うんだったわよね」
「ええ、あの時もそれで場所が分かったのよ」
聞こえた声に、取り止めの無い思考から覚め、さゆるは顔を上げます。
前回、ここを訪れた時とひとつ違うとすれば、今日のさゆるがひとりではないということ。振り返れば、スマートフォンを手に画面を確認する、
矢萩 咲
と
神薙 焔
の姿がありました。
「このあたりには……いないみたい。屋外展示のほうに行ってみよう」
「そうね。行きましょ、朝鳥さん?」
呼ばれて、さゆるはどこか気だるげながらに、小さくうなずいて。
「……分かったわ」
怪しげな男の依頼。無視してしまっても良かったものの、気まぐれでそこに応じようと思ったのは、からっぽの家へと帰宅してから過ごす空虚な時間に比べれば、いくらかマシのような気がしたから。
スマートフォンを取り出し、外界や、先を行くふたりからも自らを遮断するかのように、イヤホンを耳へ。
(どうせこれも、暇つぶしよ)
歩き出したさゆるの背を、水槽の向こうのエイたちが、翼を打ちながら見送りました。
「ふっふっふ……今回は、スパッツを履いてきたからね。前回のようにはいかないわよ!」
あの博物館……もとい倉庫にて、見えない『レンズ・キャッツ』にいつの間にやら下着を覗かれていた、なんてエピソードを焔が語ると、咲はほんのりと頬を赤くしながらスカートの裾を掴み、あたりをきょろきょろ。さゆるはその後ろで、気にするそぶりも無くどこ吹く風でしたけれど。
ともかく、島のどこかへ逃げたのだという奇妙な猫を捕まえることが、三人への依頼です。新出府 譲がその候補としてこの水族館を指定したことには、そこら中の水槽を泳ぎまわる色とりどりの魚たちを見れば、確かに妥当な案とも思えます。奇妙ではあっても猫は猫、食欲に釣られて訪れそうな場所ではありました。
不思議な海の生き物たちを横目に眺めながら、スマホ片手に歩くうち、開けた屋外の空間へと出ると、波音と潮風が三人を出迎えます……それに、賑やかな客たちの喧騒や元気の良いスタッフの声、水面から天高く飛び上がる、滑らかなイルカたちのボディも。
咲がそれを眺めて、
「イルカショーをやってるのか……」
「へぇ、イルカにエサをあげられるみたいね」
焔の指差す先で、飼育員のお姉さんが掲げたバケツの中には、大量のサバ。呼びかける声によれば、お客さんの中から希望者を募り、イルカへ餌をやる体験ができるようです。
と。
ざざ、ざざざ。平坦な表情でショーを眺めるさゆるの耳に、イヤホンからノイズのような音が届きます。
「ねえ。見て」
イルカショーに見入るふたりへ、さゆるが示して見せたスマホの画面。
ワンセグ受信中のそこへ、ざざざ、と映り込むのは……やや薄暗いような視界の中、イルカの顔と、ローアングルから見上げた飼育員のお姉さん。そしてその手に持っている、バケツです。三人の視線は一斉に、飼育員の足元へ。
姿は見えません。けれど……よくよく目を凝らしてみれば。床を浸す水の只中に、四つの奇妙なへこみがありました。そう、まるで、猫の四つ足のような。
「……あそこに?」
「かぶりつきの特等席じゃないの。もっとも、イルカには興味無いみたいだけどね」
『レンズ・キャッツ』。奇妙な不可視の猫は、確かにそこにいて、そしてイルカのためのご飯をじりじり、虎視眈々と狙っているかのようです。
「よし、行くわよ!」
焔が元気良く促し、足を踏み出します……手を上げながらに。
「はいっ、イルカにエサあげたいです!」
たまたま、周囲のお客たちが逡巡しているさなかへ名乗り出た焔を、飼育員が首尾よくばっちりと指名。焔の手招きに、咲とさゆるはちらりと顔を見合わせて、
「……えっ。さ、咲も行くのか……!?」
「近づく口実としては、上々じゃない?」
観衆の中、にわかに注目を浴びながら、そしてワンセグ画面の動きに注視しながら、三人はそっと近づいていきます。餌を待ちわびるイルカと、飼育員と、その足元の水溜り、四つ足のへこみへと。
側へとやってきた焔へ、お姉さんがイルカにプレゼントすべきサバを手渡そうと、バケツの中から掴み上げた……その、瞬間でした。ワンセグの画面がふいに、がくんと激しく動いたかと思えば、
「あっ!?」
見えない猫は一瞬の隙を突き、お姉さんの手からサバを見事にひったくると、咲の足の間をするんと潜り抜け、あっという間に走り去ってしまいました。
「相変わらず、手癖が悪いったら……追いかけるわよ!」
焔の叫びに続いて、うなずいた咲が、ため息をひとつ吐きながらさゆるが。ぽかんとしたお姉さんや観客たち、おあずけを食ってしまったかわいそうなイルカを置き去りに、猫を追って駆け出します。
姿の見えない相手を、その視界を頼りに追いかけるというのも、なかなかに大変です。水族館内のあっちへ行ったり、こっちへ行ったり……果てはマリンパラダイスを飛び出して、見えない猫と三人は外へ。
しばしの追いかけっこの後、ようやくワンセグ画面の揺れが落ち着きを見せたのは、人気の無い水族館の建物の脇でした。
画面には、地面に置かれたサバ。その身がぱくり、ぱくりと欠けていくのを見るに、さっそくお食事中の様子……ただ、もともとイルカのご飯だったからか、単にお口に合わなかったからでしょうか? ふた口ほどかじった後には、ぷいと顔をそむけてしまいました。
「よし……咲に任せろ」
と言って、焔とさゆるが見守る中、咲が取り出したのは、『ねこまんマグロ』。どうやらあの猫が好むらしい、ウェットタイプのキャットフードです。
パッケージを開封し、用意していた皿に入れてやった、途端に。
「……こっちを見た!」
「好き嫌いが激しいなんて、贅沢な猫ね……」
ついっとワンセグ画面が動いて、映り込むのは他ならぬ咲、焔にさゆるの姿。
「ほら。ご飯をあげるから、こっちへおいで」
咲が優しい声で呼びかけると、いくらか警戒している様子ながらも、食欲には敵わなかったのでしょうか。画面が少しばかりの揺れと共に近づいてきて……皿の中のフード、その一口分が、ぱくりと欠けました。
取り囲むようにかがみ込んだ三人が、それぞれに手を伸ばして、そっとひと撫でしてみれば。しゅぱん! 青白い燐光が弾けて、ツヤの無い真っ黒な毛並みが姿を現し、こちらを見上げて……じじじ、じいい、と眼球代わりのレンズを調整しながら、にゃおん。機嫌が良さそうに、ひとつ鳴き声を上げました。
「うーん、このコ随分汚れてるわね。後で洗ってやらないと。あたし、嫌がる猫を洗ってやるのって……ふっふっふ。だぁーい好きっ、なのよね♪」
「あ、あまり無茶はしないようにな……」
何だかんだで可愛らしい仕草は、猫そのもの。代わりばんこに抱っこしたり、咲などはわざわざ用意していた、鈴付きの首輪をはめてやったり。優しい手付きでぞろりとした毛並みを撫で付けてやったり……そんなスキンシップが功を奏したらしく、レンズ・キャッツのアンテナ尻尾も、ご機嫌な様子で揺れています。
奇妙な猫を抱き上げて、静かに背中を撫で付けながら。さゆるは再び、物思いに耽ります。
猫は、どこから来たのでしょうか。どこへ行くつもりだったのでしょうか。あの男の依頼通りに手渡せば、また狭苦しい隔離室とやらに押し込められてしまうのでしょうか。
じいい、と見つめるレンズを見返しながら、さゆるはただ、つぶやきました。
「……ねえ。あなた……結局、どこへ行きたかったの? 何をしたかったの?」
やっぱり、どこか自分と重ね合わせてしまいながらに。
「あたしは……あたしは、どこへ行こうとしてるんだろう……」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月25日
参加申し込みの期限
2015年07月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年07月02日 11時00分
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