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【ハロウィン】夜を往くもの
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【とこしえに】
初めて出会った時のことを、思い出します。
町を救う生贄として、捧げられた花嫁。自身の境遇を嘆き、恐ろしげな怪物の姿など想像していたら……現れた彼ときたら、ひどく寂しげで。ひとり夜の世界を彷徨う孤独に耐えかねた、ただの青年のように見えて。ひと目で、心を囚われてしまいました。
恋をしたのです。彼へ。
この夜より、彼女は
カズヤ・ゴッドレスムーン
の妻となり。
ヒフミ・ゴッドレスムーン
と姓を変えた彼女にとって、彼が永遠の夫となったのは、本当に幸せなことでした。
そのはず、でした。
「ッ、あ……ン……っ!」
びくり。今夜もまた、彼の牙はヒフミの首筋に食い込み、彼が自分の生命を飲み下していくたび、ヒフミの吐息は止め処なく熱くなり。昂ぶり、肢体を痙攣させることを止められません。敏感に跳ねるヒフミを彼は抱き寄せて、徐々に陶酔の極致へと落ち込み弛緩していくまで、押さえつけ。
「あ、あ……あッ」
素晴らしい喉越しの液体を嚥下し。そうして彼が満足するまで、ヒフミはただひたすらに、身を預けます。夫へ。
それは、幸福な時間ではありました……けれど。
吸血衝動を満たしたなら、彼がもはや妻を顧みず、足早にこの寝室を去ってしまうことを、ヒフミは知っていました。
「ねえ。待って……」
その夜に限って、吸血に伴う快楽の残滓に身を震わせながら、ヒフミは夫を呼び止めました。
振り返り、視線は絡み合い……けれどすぐに、彼が瞳を反らしてしまうことも。ヒフミには、分かっていました。
「……何だ?」
「ねえ……抱いて。私を」
焦らすように。ゆっくりと、白い手は胸元へ。薄いネグリジェの胸元をはらりとはだけ、ベッドへ膝をつき、良く出来た陶器のように滑らかな白い肌を、見せ付けるように。夫の目へとさらして。
彼を、誘います。
「抱いて。私を……貴方の、妻を」
必至に。
彼の妻となって、数ヶ月もの時が過ぎたというのに。夫は妻に血を求めるのみで、一度たりと、彼女の柔肌そのものを求めようとはしませんでした。
「……どうして……抱いてくれないの」
彼の噂を、ヒフミも知っていました。小さな町外れの森、古城に潜む吸血鬼。
彼は生贄を求める。町を襲わぬ代わりにと、その年に一番美しい花嫁を差し出させ……そうして、誰も帰っては来ない。彼は血を求め、花嫁を弄び、飽きるか吸い尽くしたならどこかへ捨てるだけ。それだけ。
ただ、それだけの……。
「ッ!」
ヒフミは寝室を飛び出します。薄布一枚の艶やかな肢体を、夜気に晒すのも躊躇わず。
どうしようもないこの寂しさが、胸を打ち据える痛みに耐えながらに。持て余す身体の芯から疼く切なさに、瞳からは雫を散らしながらに。
とこしえの夫婦。そのはずだったのです。自分は、過去に彼がうち捨ててきた生贄たちとは違うのだと。自分だけは、彼の孤独を理解し分かち合うことが出来るのだと。
永遠を彼と生きる権利を、幸福を自分は得たのだと。そう、信じているのに。
遠ざかっていく彼女が、自分にとって何人目の花嫁であったか、古城の主、カズヤにももう覚えはありません。
吸血鬼。人間。種の違いが生む軋轢がこじれにこじれた末に発生する、無益な殺し合い。それを避けるため、少しばかりの対価を支払うことで、互いの安定を図るためのシステム。毎年に町から差し出される生贄は、彼にとって、そうした仕組みを維持するための決まりごとでしかありません。
そのはず、だったのです。
(……なぜだ?)
彼女を見ていると、胸がざわつきます。あの紅玉のような瞳など、彼自身が与えたものであったはずなのに……覗き込むと、吸い込まれそうになるのです。あの甘美な雫を啜るたび、それはまるで毒水のように身体へ入り込み、心の内まで侵されていくように感じるのです。
妻は、ヒフミは彼にとって、今までに吸い尽くしてきたどの花嫁よりもまぶしく、美しく、そして強い女でした。
カズヤは妻を、恐れていました。一度囚われたら、二度と元には戻れないような気がして。
「お悩みのようだね」
ふと。気付けば。開いた窓の隙間から、一匹の蝙蝠が入り込んでいました。
カズヤはそれをつまらなさそうに眺めて、
「……お前か。何の用だ」
「ひとつ、忠告をね。オーシャン伯爵の収める街の騒ぎに、気付いてはいるだろう?」
瞬く間に姿を変えた、メイド服の少女。
ロザリオ
。この地に古くから住まう、異端の吸血鬼。永い時を生きる中で、幾度かカズヤとも邂逅したことがありました。
「吸血鬼狩りか」
「そう。ここらあたりへも、飛び火しないとは限らないだろうね」
「何でそれを、俺に言う?」
問えば、ロザリオは薄く笑い、
「バカな同族と違って、君は私の平穏を乱さないからさ。友人は貴重だろう? 私たちにとっては特に、ね」
見る間に無数の蝙蝠たちへと解けて、彼女は飛び去っていきました。
カズヤは胸へ、その言葉を反芻します。
顔見知りなど、多くはありません。人はすぐに死んでしまうし、同族であったとて、永く生きればそれだけ滅ぼされたり、消滅したり、数は減っていきました。
それを思うなら。
(ほうっておけばいい。あんな女など。放り出しても、どうせのたれ死ぬだけ、害など無い……いつものように、飽きたら捨てればいい、それだけの……)
そんな風に思い聞かせてみても、既に遅く。カズヤは彼女が、妻の存在が、もはや取り返しの付かないほどに自身を掌握していることに、ようやくにして気づきました。
中庭で、真紅の薔薇に囲まれながら、妻は切なく泣き濡れていました。
「なぜだ……?」
夫のつぶやくような問いかけに、はっと顔を上げて。頬を伝う雫を手のひらで拭うと……たまりかねたように。弾かれたように、妻は駆け出し、飛び込みました。
永遠なる夫の、胸の中へと。
「私は……私はもう、貴方なしの生だなんて、考えられない……! 貴方は、違うの? あの時、初めて目が合った瞬間。私と同じように、感じてくれていたのではないの……?」
自然、カズヤは両手を妻の、ヒフミの背に回して。むき出しの肩を、するりと撫で上げて。
「俺が、お前と……同じように?」
見上げたのは、涙に潤みながらも、強い視線。ただ真っ直ぐに、彼だけを見つめる瞳。
「……好きよ。貴方が好き。愛しているの……どうしようもなく」
今度は、夫がぴくりと身を震わせた番。ぞくぞくと後頭部へ這い上がる熱が、理性を追いやるように。蒼い魅了の視線を持つはずの彼が、今や妻の紅い瞳から、目を逸らすことはかなわず。
言葉を告げずにいたら、
「それでもまだ、不安? なら、誓いを立てましょう」
「……誓い?」
「私は、貴方だけを。貴方は、私だけを。その血を求めるの……お互いだけを」
「俺の……血を? 飲むというのか、お前が? その意味を、分かって言ってるのか?」
ちろりと覗いた舌の桃色、その艶かしさ。
彼は、悟りました。自身が抱いていたのは、恐れでは無く……真逆の感情であったことに。
「私にも、衝動はあるもの。ああ、もう……たまらないの。ねえ、お願い……」
首筋を舐め上げられる、ぞくりとした感触に。するりと胸の隙間へ入り込む、妻の火照った手のひらに。内から湧き上がる、この熱に。
「……分かった。ならば共に、堕ちよう」
「ああ……! 愛しているわ、世界中の誰よりも、貴方を……!」
カズヤは抵抗することをやめ、食い込む牙を。
妻を、受け入れました。
ふたりは、昂ぶりのままに幾度も求め合い、交じり合い、互いを確かめ合いながら。
とこしえの夫婦として、これより数え切れないほどの夜を、共に歩んで往くのです。
「ねえ……キスして頂戴?」
「……お望みとあらば」
絡み合うのはサファイアの深き蒼と、ピジョン・ブラッドの鮮烈な紅。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
恋愛
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年06月05日
参加申し込みの期限
2015年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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