ドキドキ？！　聖シエスタ女学院！｜リアクション

ドキドキ？！　聖シエスタ女学院！

朝：一日の始まり

　――白薔薇寮。
　聖シエスタ女学院は、全寮制の学校である。由緒正しき家柄の、清らかな乙女達がここで共同生活を送っているのだ。

　風紀委員である八咫鏡の朝は早い。まだ眠る生徒達を起こさぬよう、素早く身支度を整えると、食堂で早めの朝食を取る。そして、生徒達が起きぬうちに、学校へ向かうのだ。
　そして、教室で【風紀委員】と書かれた腕章を身につけ、最後の身支度。鏡に向かって、鏡はにっこり微笑む。
「うん、今日も完璧、です！」
　こうして彼女の１日ははじまる。
　因みに、リアルでは小柄な『男性』なのであるが、その記憶はほとんどないのかもしれない。元々小柄で愛らしい姿をしているゆえか、ナチュラルに同化しているようだった。

　鏡が正門付近で掃除をしているうちに、他の風紀委員や美化委員がちらほらと集まってくる。その様子を見、鏡は彼女達へ微笑みかけた。
「綺麗な校庭で今日もみなさんを迎えましょうね」
「「はい、お姉さま！」」
　鏡へと多くの生徒が声を返す。中には鏡の取り巻きと言ってもいい生徒もちらほらいた。上級生はそんな鏡を頼もしそうにみている。どうやら、多くの同級生や下級生にしたわれ、上級生には一目置かれているらしい。
　この季節は枯葉が多い。掃除をしておけば清々しくすごせるだろう、と鏡は皆と共に熱心に掃除をするのであった。

（……えっ？　ここ、どこ？！）
　真境名アリサはベッドで目覚めた途端、僅かに驚いた。横になっているのはふわふわのベッド。そして、部屋は見慣れている旧市街のアパートではなく、お洒落な家具や小物のある部屋。そして、壁にかけられているのは……セーラー服である。
　それと同時に脳裏をよぎるのは、自分が『聖シエスタ女学院』にかよう女子生徒である、という記憶だった。
「これって、高校生ぐらいに若返ったって……こと？」
　起き上がって伸びをしながら時計を見れば、登校時間まではずいぶん余裕があった。アリサは窓のカーテンを開けて朝日を浴びるとシャワーの準備を始めた。
　シャワーですっきりと目覚めた後は身支度を整えて食堂へ。今日の朝食はスクランブルエッグにボイルしたウインナー、トーストとサラダにコーンスープ、デザートのフルーツヨーグルトだった。
（すごく美味しそう。スクランブルエッグなんてとろとろじゃない！）
　嬉しくなりつつも祈りをささげ、丁寧な所作で食事をしている自分に驚いてしまう。だが、美味しい朝食に心が躍り、食も進んでお代わりしたくなる気持ちも……。
（抑えなくちゃ、ね）
　アリサはゆっくりと食事をすすめ、よく味わう事にした。

「ごきげんよう、桜庭さん」
「あ、ごきげんよう、真境名先輩！」
　アリサが外に出ると、ブレザーを纏った１年生の桜庭円と出くわした。彼女もちょうど登校するところらしい。２人は爽やかな風が吹く中、のんびりと話しつつ学校へ向かう。
　円はナチュラルに順応していた。朝起きたとき、部屋がどこか愛らしい感じがするなぁ、とは思ったが、これはこれでなんか楽しい。
（今日はどんな日になるかな～。ちょっとわくわくしてきたっ！）
　元々好奇心が強い円は、にこにこ笑顔になっていた。

　そんな２人が校門をくぐると、鏡が他の風紀委員と共に爽やかな笑顔で出迎えた。鏡はこうして校門付近で挨拶をしながら、服装チェックをしているのである。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
　アリサがにっこりと微笑めば、鏡はすばやくチェックし、「はい、さすがですね」と笑顔で一礼する。円も挨拶をしたのだが、そこで鏡は後から来た生徒に目を向けていた。

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