ドキドキ？！　聖シエスタ女学院！｜リアクション

ドキドキ？！　聖シエスタ女学院！

？　？　？：平行世界の乙女達。

　夢見心地が変だったな、と思いながら起床したサキリは、妙に賑やかだな、と思いながら部屋の外に出る。と……同じ部屋の真央が左隣の部屋をノックしていた。
「大変なのだっ！　真央、変な夢みてたのだ！　聖良ちゃん、月ちゃん、聞いてなのだ！」
　真央が朝早くから聖良と月の部屋をノックする。すると、右隣の部屋であるトワと楓が顔を出す。
「真央、朝から元気デス！　」
「……もう少し、静かにしてくれ。こっちは何故か一睡も出来ていないんだ……」
　訳あってトワの護衛をしている楓としては、体調を崩さぬよう対策を打たねば、と考えつつため息をつく。
「相変わらず元気ね。でも、声のボリュームは落とさないと……」
　声を聴いて駆けつけた鏡が苦笑する。と、同じように駆けつけた咲がくすっ、と笑った。
「昨日は何か熱が出たみたいだったから気になったけど……その様子だともう大丈夫かな？」
「あのっ、後木さん。これ、よかったら……」
　極夜がクッキーを渡すと、真央の後ろから亨が抱きつき、マカロンを手元に落とす。
「あれから俺たちも気にしててさ。でも、少し安心したよ」
「あら～ん？　朝からにぎやかねぇん？」
　あくびをかみ殺しながら上の階から降りてきたのは、ミッシェルである。彼女と共に姿を現した碧南はぱんぱん、と手を叩いて注目を集める。
「後木さんが見た夢というのは、私も気になるかも。心当たりがある人は一緒に朝ごはんでもどう？」
「それは賛成だね」
　そう言ったのは、聖良。彼女の傍らには、メイド服を纏った月の姿もある。彼女は笑顔で挨拶すると、
「食堂のほうに一言伝えて、準備してまいりますね」
　と食堂へ。その背中へ聖良は手を振って見送った。
「ん～、朝から賑やかち思ったら……。おもしろそうやん！」
「そうだねぇ」＜参加したら楽しそう＞
　反対側の部屋からこうと正美も姿を現し、アリサがくすっ、と笑った。
「そういえば、私も心当たりあるわね。ふふ、案外皆似た夢を見たのかしら？」
「ホント？　だったらすっごく楽しいよ！　ね、篠原先輩！」
　円もまたキラキラした眼差しでそういえば、翠響もまたくすっ、と笑う。確かに、自分のようで自分でない体験をした事を思い出し、少し楽しい気分になる。
「ともかく、食堂に行きましょう？　ね？」
　彼女の言葉に全員が肯き、食堂へ向かうのだった。

＊　＊　＊　＊　＊

　そして、新しい朝が『夢を見ていたもの達』にも訪れる。

＊　＊　＊　＊　＊

　――現実：星ヶ丘寮

（今日は開門からお仕事ですっ）
　八咫鏡は「何か面白い夢を見たなぁ」と思いながら警備員の仕事をちゃんとやっていた。掃除をしながら明るくなっていく空を見上げ、今日もいいことがあるといいな、と願う。
　彼は出かけるであろう寮生を笑顔で見送りながらにっこり笑う。
「今日も一日、頑張りましょう！」

　――現実：キャットロードのとある家

（今のは……夢？）
　目が覚めた矢萩咲は夢で見た出来事を覚えていた。そして、一気に顔が赤くなる。自分がしたこと、言った事を全て覚えていた彼女は恥ずかしさから顔を手で覆う。
（……どうしよう。咲は、あの２人に会ったらどんな顔をすればいいのだ……！）
　妙にドギマギしつつも、彼女は深くため息をつく。こうしていても埒はあかない。どうにかこうにか起き上がると身支度を整えるのであった。

　――現実：寝子高・１年の教室前

「普段の修ちゃんなのだ！　よかった、あれは夢だったのだ！」
「言っただろう？　平行世界みたいなものだと」
　あの夢を見た翌日、八神修と後木真央は夢の話で盛り上がっていた。だが、その傍を通った夜海霧楓はどこかげっそりとした顔をしていた。
「あれ？　楓ちゃん顔色悪いのだ。保健室に行った方がいいのだ！」
「大丈夫だ。少し夢見が悪かっただけだから」
　楓が苦笑して断る。と、常闇月がやってくる。その姿を見つけた修は、とても爽やかな笑顔で手を上げた。
「おはよう、月」
「おはよう、セイ……八神さん」
　うっかり『セイラ』と言おうとしてしまう月だったが、少しだけ暖かい気持ちになったのはココだけの話である。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

菊華です。
まずは、ガイドに登場してくださった佐久間堂鉄さんと骨削瓢さん、真に有難うございます。
次に、このシナリオに参加してくださった皆さんと、読んでくださった皆さん、真に有難うございます。

菊華の試みとしてやってみた『女子校ＩＦ』ですが、……書いていて少し恥ずかしかった事を白状します。

それはさておき。
平行世界ではあれ、女子校でのひととき、お楽しみいただけましたでしょうか？
喜んでいただけたら幸いです。
アクションを読んでいて納得したり、笑いのツボをつかれたりと楽しませていただきました。

最後に。今回は

共通称号：乙女の園の夢を見て

をプレゼントいたします。
それでは、また縁がありましたらよろしくお願いします。

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