ドキドキ？！　聖シエスタ女学院！｜リアクション

ドキドキ？！　聖シエスタ女学院！

二時間目：体育の時間

――更衣室

（……平行宇宙的な世界に意識が放り込まれた感じかな？）
　八神聖良（八神修）は鏡の前で下着姿で仁王立ちしながらふむり、と自分の身体を観察していた。
　まぁ、中身である修は色々あって女性の身体は見慣れているためか恥ずかしがる事も無く順応しているようだ。そんな彼は「事を荒立てぬように過ごそう」と決意している。その傍らでは、専属メイドでもある常闇月も着替えをしていた。
「急がないと、授業が始まってしまいます」
「そうだね」
　月の言葉に頷く聖良だが、「八神さま、大胆ですねぇ」とクラスメイトから声が上がる。それにくすり、と笑う聖良。
「うふふっ、隠さなくていいのよ。ほら、貴女だって……」
　なんてじゃれあう姿は愛らしい女子高生である。
「みんな、cuteな下着なのね♪」
　と、トワ・E・ライトフェロゥが月や聖良の下着を褒めれば、月も「トワ様の下着も可愛いですよ」とにっこり。聖良は首を傾げるトワの様子にかわいい、と頭をなでている。
　そんな光景を目撃し、茹蛸のように赤くなる者がいた。サキリ・デイジーカッターである。彼は男性としての意識が色濃く残っており、目のやり場に困るので更衣室の隅っこで着替えをしていたのだが……。
（うぅ、女の子の体は動き辛いな。力は弱いし、胸が邪魔だし重心が低くてバランスが取り難い……）
　スレンダーグラマーなサキリは、ブラのホックが思わず取れ、あわてて止めようとし、うまく行かず悶々とする。そしてそれを見つけた聖良に微笑まれ、そっと止めて貰えば妙に恥ずかしくて、小声でしか「ありがとう」を言えなかった。
（神魂の影響か？　仕草や言葉使いまで女の子っぽくなってまいりそうだ）
　無意識に女の子らしい言動になっていくことに、不安を覚えるサキリ。そんな彼女だが、太ももにベルトを巻き刃物を隠し持っていたりする。勿論体育の際はロッカーだが。
（ふぅ、どうにか頑張ろう）
　刃物にこっそりふれつつ、決意するサキリであった。
　そしてもう１人。トワの着替えを手伝っていた夜海霧楓もまた妙にドギマギしていたりした。
（落ち着け！　トワは普段どおり、トワは普段どおり）
　そう言い聞かせるもそれなりに良いスタイルに発育したトワの姿は妙に眩しい。その上聖良の振る舞いは大胆でこちらも僅かに顔が紅潮している。
「悪い、デイジーカッター」
「……？」
「思いっきり俺を殴ってくれ。色々と精神的に参りそうだ」
「えっ？！　夜海霧どうした！？　しっかりしろ！！」
　頭を抱える楓の発言に、サキリは思わず肩をゆするのだった。

　今日の体育は、三年生がグランド、二年生と一年生が体育館となっていた。種目は三年生がサッカー、一年生と二年生がバレーであった。　

　授業が始まり、まずは柔軟体操。生徒たちは２人１組となってしっかり行っている。そのうちの１組である桐野正美（桐野正也）は楽しそうにルームメイトの服部こう（服部剛）と柔軟をしていた。どうやら、この２人は心から女の子になっているらしい。
「ふふ～♪　やっぱり他の授業に比べて体育は体を動かせるから好きだなぁ～」
「そうやねぇ」
　ウェーブのかかった髪をお団子ハーフアップという髪型のこうは、快活な女の子に見える。だが……、中身はというと？
（ふふ、体育の時間は眼福やね〜♪　って目の前におっぱいって！）
　と、そつない動きで正美の胸をつ～っ、となぞっていた。これには正美が思わず小さくだが悲鳴を上げる。
「ちょっ、ちょっと何してんのさ！　もぅ……」
「だって、正美ちゃんかわいいんやもん☆」
　こうは、そう言ってぺろっ、と舌をだしてみる。正美は苦笑して「ほんと、こうって時々オヤジになるよね……」と呟く。が、この後のバレーでめちゃくちゃ彼女を狙ってレシーブしていたりする。

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