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カレーが辛い件
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その頃、蔵人とジェレミアは炎の中にいた!
本当に火に包まれたわけではない。もちろん店が火事に見舞われたわけでもない。
けれどもそう表現するほかない威力の中に投げ込まれていたのである。
ほんの少し、時間をさかのぼろう。
ランチセットはサラダ、そしてスープと続く。独特のドレッシングがかかったサラダはなんともシャキシャキ感があり、バター味のきいた卵スープも、セットのサービス品とは思えぬ香りと味わいであった。
その両者が終わる頃、
「本日のカレーになりまーす」
アルミの丸い大皿に、乗ってメイン料理が届いた。
インパクトのあるサイズのナンは、見た目からして熱々で、自分の顔よりも大きいくらいだ。真っ赤なタンドリーチキンも香ばしい。ちんまりしたライスもかわいらしい。そして、カレー……豆のカレーだ。
見た目は本当に、良い色をしたおいしそうなカレーだった。豆のごろごろ感もいい。
「熱っ、これ本当に焼きたてなんだね」
おしぼりで手を拭き、蔵人はナンをつまんだがびっくりしてその手をひっこめた。
よし、ここは邪道かもしれないがまずは、ライスでいただくことにしようか。
銀のスプーンを取ってご飯をさっと乗せ、このままカレーをさらう。ミニサイズのカレーライスがスプーン上に生まれた。
そうして、ぱくっと一口。
「……!」
ジェレミアは食前、軽く祈りを捧げていた。なんとなく、やっておかないと落ち着かないのだ。
――食材と、作ってくれた人には感謝しなくちゃ。
日本でも『いただきます』と言うではないか。
短い祈りが終わるとジェレミアはすぐにナンを手でちぎる。ピザと同じだ。端から取っていけば熱くても手に持てる。
これをカレーに浸した。スパイシーなものが胸にひろがっていく。食欲をそそるではないか。
口に運んで……。
「……!」
蔵人の体で最初に反応したのは、舌ではなく鼻だった。鼻の頭に、じわっと汗がにじんだ。
おかしいなと思う。
つづけて額だ。額に汗が浮かぶ。
その頃にはもう、舌のほうは大騒ぎだ!
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ヘビー級ボクサーのパンチをくらったような感じか。今すぐ椅子を蹴ってジャンプし、背中からレストランの壁に激突したくなるほどの衝撃! いや、そのまま壁を突き破って道路を時速120キロで転がって、海に落ちたくなるほどの……
辛さ!
なんだこれは、突然部屋の温度が上がったのか。
汗は鼻と額にとどまらない。腕や背中にもどっと吹き出している。
めまいがする。視界が真っ赤に染まる。顔だってきっと、ウオッカを一気飲みしたくらい赤くなっていることだろう。
身をよじって叫びたい! つまりツイスト・アンド・シャウトだ!
――か! 辛い!
けれど本当に叫んだりはしない。というか、できない。それほどのハードな辛みなのである。
――これはヤバイ!
痛い!
自分の言葉に蔵人は気付かされた。そうだ、これはもう、辛いではなく『痛い』なのだ。舌が刺されたように痛い。舌だけではなく口腔いっぱいに痛さが暴れ回っている。小さな赤鬼が口のなかで、トゲトゲの金棒を振り回しているのではなかろうか。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
不穏な書き文字が自分の周囲を浮かんでいるような気がする。
よく見るとこのカレー……赤いではないか。
恐ろしい。
まだ、一口しか食べていないというのに。
そこは広大な、果てのない花畑、たわむれているのは天使たちだろうか。
花々に包まれてジェレミアは目覚めた。目覚めて身を起こすとなんと、体がふわりと浮き上がった。
光のさすほうへ彼は飛ぶ。
まさかここは――ジェレミアは気付いた。天国?
――俺、死んだの……?
だが突然天国の光景は、真っ赤な炎に覆い尽くされてしまう。天国じゃなくて煉獄だったという話なのか!?
はっとジェレミアは意識を取り戻した。
さっき口にしたのはなんですか。溶岩ですかマグマですか。
いいえ、激辛カレーです。
彼もツイスト・アンド・シャウトしたくなるのだが、それはマナー違反なのでこらえた。むせそうになるのも必死に耐えた。
殺人的なまでに勢いのあるカレーだ。
比較的辛みの強いといわれる豆カレーなのがさらに拍車をかけているのだろう。
蔵人は顔を上げて、
「すいませんラッシーください!」
食後に持ってきてもらうつもりのドリンクを、先に持ってきてもらうことにする。このとき、ジェレミアと目が合った。
――彼も?
初対面ではあるが強いシンパシーを感じる。きっと彼も備えなく、いきなりこの極辛に直面したのであろう。顔が真っ赤だ。
やってきたヨーグルトドリンクの冷たさと、辛さを和らげる乳製品の力を感じて、また蔵人は赤い悪魔に挑んだ。
ジェレミアも無言で蔵人とアイコンタクトを交わしたことで、勇気づけられた気がしていた。
――とにかく、カレーを早めに減らさないと!
辛みというのは時間をかけるほどに破壊力が増す。ジェレミアは意を決してスプーンをとると、これを一気にライスにかけ、荒れ狂うドラゴンのようなカレーとともに急いで口に運ぶのだ。運ぶほどに、痛みが駆け巡る。汗をかく。
けれどもサラダのドレッシングは甘く、タンドリーチキンはごく穏当なテイストで救われた気がした。
やがて蔵人は奇妙な感覚に襲われた。食べるほどに背徳的な気分になるのだ。危険なほど辛いのに、食べたくて仕方がなくなっていく。なんだこの感覚は。
――たとえるならそう……らっぽをつぎ込んではいけないのにつぎ込んでしまうような……。
らっぽ、って何だ? とわけがわからなくなってきたが、これもきっと一種のトリップ感覚なのだ。
蔵人は泳いだ。赤い海をかきわけざぶざぶと泳いだ。大人の事情がいっぱいあって精密に描写できないが、色々な考えに身もだえしながら泳いだ。なお正確に言えば泳いでいるのは、彼のスプーンでありナンであるが、それくらい一体化しているということだ。食べ物を残すなどお天道様が許しても、イラストレーターの夜目倉さんが許さない……そして何より、蔵人自身が許さない……!
「ラッシーおかわりください!」
にわかには信じがたいが、今、蔵人はこのカレーを愛していた。
ジェレミアもまた、この辛さの虜になりつつたった。
鞭打たれるような刺激があるものの、乗り越えるたびに喜びがある。もはやジェレミアは火の玉だ。一個の、火の玉だ。しかし火の玉自身はおのれの熱さを感じぬもの。事実ジェレミアの汗は徐々に引きつつあり、かわりに、悟りを開いたような清涼感が訪れていた。
「ごちそうさま」
ジェレミアはにこりと微笑んだ。完食。唇にまで刺激があるものの、やりきったという満足感、満たされた胃の満腹感はそれに勝った。すぐに運ばれてきた、チャイの甘みが身にしみる。
同じ頃、蔵人も綺麗に皿を平らげていた。
「……とても美味かったです」
蔵人は無意識のうちに、合掌しているのであった。
はっとこのとき、またジェレミアと蔵人、二人の視線が交差した。
男たちは言葉を交わさなかった。
けれども互いの健闘をたたえあうのだった。短いその一瞬で。
おそらく彼らはまた、この店を訪れるだろう。
けれど今度は、「辛さは控えめで」と注文しようとするだろう。きっと。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月30日
参加申し込みの期限
2015年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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