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カレーが辛い件
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ほうほう。
それは好奇心と食欲と新しいもの好きな感性がピピッと、なにか新奇な存在を五官でとらえたとき、自然に口から出るため息というか吐息というか、うなり声……いや、お囃子のようなものとでもいうのが、一番しっくりするだろうか。ともかく、そんな声なのである。
ほうほう。
いや、『方法』じゃなくて、
「ほうほう」
これなのだ! ほうほう! HOHO!
南戸河 蔵人
がこのとき、そんな深淵なりき「ほうほう」を口にしたのは、彼の目が奇妙な看板を、耳が軽妙な音楽を、そして鼻が、たいへん巧妙なスパイスの香りをとらえたためであった。
「ほうほう、本格的インドカレーのランチセット……」
好奇心旺盛な作家にして食いしん坊BANG-ZAIな蔵人だ。ここで足を止めなければ嘘であろう。タージマハルがそびえ立つ看板の下、彼はしばし思案する。
ふるっと秋の風が吹いた。もうじき10月も終わりだ。
「最近は涼しくなってきたし汗かくくらいの物もいいかもね」
つぶやくと彼の足はもう、ガネーシャが描かれた自動ドアをくぐっていたのだった。
「ナマステー、いーらっしゃいませ-。こちらのお席、どぞー」
濃い肌をした店主が、まぶしいくらい白い歯を見せて笑った。
それなりに広い店のようである。ざっと二十名くらいは収容できるだろうか。壁にはインドの光景をとらえた写真が飾られ、インドの国旗や地図もレイアウトされていた。しゃかしゃかと耳障りに鳴らない程度の音量で、インド映画のサントラらしき軽妙愉快な音楽が聞こえる。照明は抑え気味だが陰気なイメージはなく、むしろ神秘的で蔵人の好みだった。
他に客の姿はない。まあ、まだ午前十一時台だから珍しいことでもないだろう。
二人がけのテーブルに蔵人は腰を下ろした。
よく見るとこのテーブル、既製品ではなく手彫りとおぼしきゾウの装飾がついた立派なものだ。椅子も同様、肘掛けに置く手触りもいい。テーブルクロスはインド風のつづれ織りである。
メニューを手にするまでもなく、蔵人の注文は決まっている。
「すいません、ランチセットでー」
「うーけたまわりましたー」
店主は軽快な返事を返してきた。そしてまた、にこっと穏やかに笑む。どうも腕を振るえるのが嬉しくて仕方がないのだろう。冷えた水の入ったグラスと水差しを残していってくれた。
蔵人はメニューに目を落とした。裏表紙に店主の経歴が書いてある。
店主は
アーナンド・ハイイド
という名前で、インドのスラムに生まれほとんど字も読めないまま青年になったが、懇意にしていたカレー屋台のおじさんに雇われ、そこで料理の腕を磨いたのだという。やがてハイイドは屋台を継いだもののそこにとどまらず、苦学して高卒の資格を取ったうえ、屋台で貯めたお金で料理の専門学校に入り料理の勉強を一からやり直したらしい。
その後彼はホテルのコックとして活動した後、新天地を求めて来日。さらに何年か資金をたくわえ、ついに最近、ここ寝子島で一国一城の主になったという。
――人に歴史あり、だね。ハイイドさんか……なかなかドラマティックじゃないか。
なおハイイドは、日本で結婚し帰化したので国籍は日本になるらしい。
つまり彼は日本に骨を埋めることを決め、インドからすれば最果てともいえる異国の地で、おのれの半生をかけて鍛えた味を問うているということである。
蔵人はうなった。
「これは、こちらも中途半端な姿勢で迎えるわけにはいかないね」
いつの間にか蔵人は、背筋をしゃんと伸ばしている。
ハイイドは職人であり、作家の自分もある意味職人ということになる。職人は職人を知る。組織に頼ることなく腕一本でやっていく大変さには共感できるゆえ、こちらも彼の魂、すなわちカレーをおろそかには食べるまいと、そんな真摯な気持ちになったのだった。
ふと蔵人が目を向けると厨房のところの黒板に、『日替わり:本日は豆のカレーです』と書いてあるのが見えた。
「ふむふむ」
――豆のカレーは辛い物だと相場が決まってるが、大丈夫かな……。
辛いものはそこまで得意なわけではない。いささか蔵人は緊張した。
そのとき、カランと音がして新たな客が入ってきた。
「いーらっしゃいませ-」
語尾の上がる独特の発音で、ハイイドは長身の客人を見上げた。
インドの情緒あふれる店内に、入ってきたこの美しい人をどう表現すべきだろう。
一輪の花、それもシャクナゲの花と、いえば少しでも実像に近づけるだろうか。
男性ではあるがその人は、麗人と呼ぶのがふさわしい。
すらり長い手足、透けて見えそうなほど白い肌、伏し目がちながら整った睫毛。
彼は
ジェレミア・ベルトーニ
、そよ風のように単身、チラシを手挟んで入ってきたのである。
案内されてジェレミアは、蔵人から少しだけ離れた壁際の席に着いた。
ジェレミアが来店したのは偶然ではない。彼は噂に聞いてきたのである。ジェレミアは獣医を経営しているのだが、彼はそのスタッフから『スゴいカレー屋さんがあるの』との情報をキャッチしていた。他にも、猫や犬の飼い主からも同様の話を耳にした。
しかし不思議なことに彼が「どうすごいの?」と訊いても、皆、反応は同じだった。……ふふっと笑うだけなのである。
気になるのは当然であろう。
しかも今朝、
「診察に来るときチラシ配ってたから先生にあげる~」
とスタッフがビラを手渡してくれたので、もうこれは迷ってはいられないと、ジェレミアは店を訪れたのだった。
ジェレミアは切れ長の目で店内を見回す。どうスゴいのか、手がかりを求めて。
良い香りがするところからして、恐ろしく不味いのではなさそうだ。恐ろしく珍妙な店かと思いきや、名前と看板こそインパクトがあるものの内装は落ち着いている。清掃もよく行き届いているし、端々まで店主が気を配っているのが伝わってくる。
インド料理は結構好みのジェレミアである。あのスパイスが体の中から燃えてくるのがわかって、元気が出てくる気がするからだ。ゆえにこういう店に来るのはこれが初めてではない。その尺度に照らし合わせても、なかなかいい店と思えた。
「なるほど、オススメはランチセットなんだね」
メニューを見てうなずく。基本、ジェレミアは『今日のお勧め』メニューがある店ではそれを選ぶことにしている。なぜってそれは、『本日の自信作』という意味のはずだから。
「ランチセットをお願いします。飲み物はチャイをホットで」
そういえば――とジェレミアは思った。
こうした本格カレー店の場合、辛さを最初に指定する方式になっているのが一般的だ。大抵は五段階で、『5』が激辛、『1』が激甘というランクになっている。ジェレミアは辛いものが苦手ではないが、選べる場合は『3』を選ぶようにしている。辛さというのはほどほどがいいし、素材の味を楽しむためにもそれくらいがちょうどいいと思うからである。
カチコチと壁の柱時計が、静かに時間を刻んでいる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月30日
参加申し込みの期限
2015年06月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年06月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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