ホクホク！　落ち葉でおいしく焼きイモしませんか？｜リアクション

ホクホク！　落ち葉でおいしく焼きイモしませんか？

【現代語に意訳してお送りします】

　真央は受付の机で、綾花がしていた芋にアルミホイルを巻く作業を継いでいた。たった今、最後の一つを終えたところだ。お手洗いに行きたいという綾花の頼みで、少しだけ受付を代わっているのである。
「ふぃー……おぉ？」
　巻き終えて一息ついた真央が、火床作成チームにお茶を持っていこうかと思っていると、受付にやってくる
男女が。
　トラ猫のタイガを連れた八神修と、長い黒髪の常闇月である。
「修ちゃん、タイガちゃん、月ちゃん、いらっしゃいませなのだ！」
「お、真央が受付か？　よろしく頼むよ」
「月ちゃん、荷物はこちらの棚にどうぞなのだ」
　荷物を置いた月は、棚のそばに置かれているクーラーボックスに目を止めた。
「後木さん、このクーラーボックスは？」
「フフフ……月ちゃんもお目が高い。それはこの真央ちゃんが持ってきた『秋のグルメＢＢＱ持ってけドロボーお宝ボックス』なのだ！　あ、ちなみに準備は綾花ちゃんに手伝ってもらいましたなのだ！　みんなも食べるといいのだ」
「は、はぁ……」
　興奮ぎみにクーラーボックスの中身を説明する真央に、ついていけない月。修はそんな彼女の肩をぽん、と
叩いてこう言った。
「気にするな。真央はいつもこんな感じだ」
「そ、そうですか」
「せっかく用意してくれたんだ。秋のグルメとやらを、俺たちも頂こうぜ」
「はい！」
　月の笑顔に、修はほっと胸をなでおろした。

　修と月が名簿に記入して軍手をはめているあいだに、真央はタイガのケージをそっと棚に置く。
「相変わらずタイガちゃんは可愛らしいのだ」
　ささやくように話しかけると、タイガはみゃん、と返事をした。
　前足をケージの隙間からつきだし、遊びをねだる様は真央のハートをがっちりキャッチしてしまったのである。
「あぁ、もう真央ちゃんはメロメロなのだー……ひれふしてお仕えしても、まったく問題ないのだー……」
　目尻をさげつつ、タイガの前足をつつく真央。彼女の脳裏ではすでに、タイガはふかふか座布団に座る殿様のようなイメージ補正がなされていた。

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『にゃにゃーんにゃ、みゃなーあ（余に仕えたいという、後木　真央はお主か？）』
『はいなのだ。タイガさま、この真央ちゃんめに何なりとお申し付けくださいなのだ』
『みゃうにゃんなーあ、ぐるみゃん（ならば、お主の持っているカツブシ粉とマタタビ粉を献上せよ）』
『ははー。すべてはタイガさまの物でございます』

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「はっ！？　ダメなのだ、『ははー』じゃないのだ！」
　真央は、目の前に広がった（※　イメージ映像です）を手をふりまわして打ち消した。
「いくらタイガちゃんが可愛くても、おやつの食べ過ぎは万病のもと！　いけないいけないのだ」
　どうやら、猫に対する愛が真央を現実世界に引き戻したようである。
「真央、タイガがどうかしたのか？」
「べ、別になんでもないのだ！」
　修の質問に、真央が苦笑したところで、月詠がこちらにやってきた。
「八神にユエか。ちょうど良かった。二人とも、軍手ははめているな。落ち葉が足りないから、もう少し集めてきてもらえないか？　真央は、綾辻君が帰ってきしだい、落ち葉と小枝の分別を手伝ってほしい」
「了解なのだ！」
「分かった。行こうか、常闇」
「はい。行ってきます、旅鴉さん」
　月詠の要請に、三人は挙手で応え、それぞれの目的地へ出発した。