ホクホク！　落ち葉でおいしく焼きイモしませんか？｜リアクション

ホクホク！　落ち葉でおいしく焼きイモしませんか？

【明かされる真実】

　ただ今の時刻は１６：３０。
　秋のグルメをたっぷり味わった１６人は、協力して校庭をイベント開始前の状態にもどす後片付けをしていた。
　落ち葉を焼いた灰を一箇所にまとめ、穴を掘って埋めたレンガを元の場所に戻す。テントやブルーシートを
たたみ、椅子や机などを借りていた小学校に戻す、などなど。
　前もって頼んであったらしく、灰はサツマイモの提供者である農家のおじさんが軽トラで引き取りに来て
くれた。シャイな性格のようで『皆さんに紹介します』という町長を制止し『肥料をもらいにきただけだから』と、さっさと帰ってしまったのである。
　電光石火の早業であった。

「皆さん、本日はご参加ありがとうございました。ゆっくり体を休めて下さいね。お疲れ様でした。では、
解散です！」
「おつかれさまでしたー！」
　１７時５分前。
　町長による終了の挨拶に、一同礼――その後、修はふと思いつき、町長に話しかけた。
「町長、女性はウチの車で送っていこうと思うんですが。もう大分暗いですし」
「……おぉ、それはいい考えです！　お願いできますか」
「お任せください」
　修は慣れた手つきでスマートフォンを操作し、家に迎えの車を寄越すよう連絡する。その行動が碧南にとある真実を明らかにしてしまうことを知らずに。
「みんな乗ったか？　番号を言ってもらえると助かるんだが」
　到着した車内、助手席から後部座席を振り返る修。彼女たちから、１から１１までの返事が返ってくるのを聞き、ほっと一安心してシートベルトを締める。
　車の外で手を振っている町長、すばる、時生、零の四人に、碧南が首をかしげた。
「あれ？　夏神さんは乗らないの？　おうちが近いのかな」
「いやいや、碧南殿。髪が長いので勘違いなされたのであろうが、拙者は女性ではなく、男性でござるよ」
「えぇーっ！　そ、そんな！　凛々しい男装ヒロインは幻だったというの！」
　零の返事に驚愕した碧南は、この日何度目かの『つい』を口走った。――まぁ、一日中美少女だと思って
ウキウキしていた相手に真実を明かされたのだから、衝撃を受けるのも無理はない。
「ねーぇ、碧南おねえちゃん、男装ヒロインってなぁに？」
「はぅっ！？」
　ただし、今回ばかりはギャラリーの数が多すぎたようだ。運転手も含めれば１７人の目が、じっと碧南を見ている。
「や、八神君！　私やっぱり、自分で帰る事にするね！」
「え？　お、おい羽生」
「今日は一日どうもありがとう。とっても楽しかった！」
　視線に耐えられなくなった碧南は車から降り、自動ドアを無理やり閉めて、バスケ部で鍛えた体力で瞬く間に走り去った。
　残されたのは、頭上に？マークを浮かべた集団。
「凛々しい男装ヒロインって……一体なんだったんだ？」
　修の疑問に答えられる人間は、ここには誰もいなかった。

【おしまい】

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あとがき

担当マスター：陣杏里
ファンレターはマスターページから！

こんにちは、陣　杏里です。

焼き芋をするほっこり日常シナリオ、いかがでしたでしょうか。
わたくしの知らない数々の知識が、みなさまのアクションに散りばめられており、驚くことしきりでした。
うーむ、奥が深いですね、焼き芋って。

リアクションを書いている途中で、家庭菜園のジャガイモを収穫しました。
これからはじゃがバターだ！　フライドポテトだ！
ポテトチップスも作りたい……が、ハードル高そう！
とまぁ、ウキウキしております。（焼き芋じゃないけど）

ご参加のみなさま、お読みくださった皆さま、ありがとうございました。

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