【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！｜リアクション

【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！

　　【いぬとねこの確執】

「こうして見ると存在感に溢れているな……」
「とても有意義な時間を過ごせたが、確かにかなり目立っていたな……」
　もう直ぐ花火が始まります。犬のしょうぐんを連れてきた八神修と、それを探していた御剣刀は、小声で話し合いました。

「おさむ、どうだ！　我の薦めた“いぬサイコロステーキ”と“思わず『取って来い』がしたくなるジャーキー匂い付きのいぬのおもちゃ”は、最高であろう！」
「ええ、とても良いお土産が出来ました」
　笑顔で答える修でしたが、内心“いぬのサイコロステーキ”に少し胃もたれしている事などは、この場で言うのも野暮なもの。

「かたなとは、これから花火か。どうせならば、おさむとかーきーも来るが良い！
　いぬは差別しない素晴らしい存在であるからな！」
　補足すると、ねこの国でも平和すぎて差別らしい差別が無いのですが、それはまた置いておくとして。
　先程からしょうぐんは“いぬ”を連呼していますが、ピコピコハンマーが飛んでこないのはそれだけお祭が忙しい証拠なのでしょう。

「────」
　そして、犬のしょうぐんが興奮を隠し切れない様子で丘を登った時、そこにいたのは──
「……。よっ、何だその顔は。
　お前は昔から人の話を聞かんヤツだったが、何だ今回も聞きそびれたのか？」
　見えた猫の王さまの、その声、存在に。

　犬のしょうぐんは、露骨に嫌な顔をしました。それはもう、カボチャ越しでも分かるくらい、いぬの表情限界まで嫌な顔をしました。

　どーんっ

「あ、花火が始まった！　しょうぐんも座って座って！」
　円が状況を悟って、慌ててしょうぐんをシートに入れ、王さまとは話だけが出来るギリギリの距離に座らせました。

　それでも二人の視線がぶつかる火花は止まりません。
　これでは花火どころでは──皆がうっすらとそう思った時。

「王さま、しょうぐんさまも怒っていないで飴細工はいかが？」

　声を掛けた瑠奈は、花交換所を往復する度手間が掛かると増えていった花を、路上販売していたカボチャさんに頼んで、全て様々な飴細工に変えてもらってきたのです。
　花の形、雪の結晶の形、虹の形……
　瑠奈は、それを他の皆にも配りました。
　外の野っ原に座っての買い食いは、やはりとても楽しいものなので、これで猫の王さまも、犬のしょうぐんも皆幸せになってくれれば良いな……とそんな想いを秘めながら。

「ルナがくれた飴だから、食べている間は大人しくしておいてやる」
「名前は、るなか。このカボチャの厚意なら大人しくしておいてやらんでもない！」

　２匹がほんのひと時の休戦条約を結んだところで、
　皆が見上げるぽーんと上がった花火は、可愛らしいキャンディ型や、ファンシーショップを歩けば必ず１度は見かける、赤いリボンを耳に付けたねこと、それに負けじと次の瞬間には黄色い鳥を頭に乗せたいぬが、可愛らしく紺の空に浮かび上がっていました。

　そんな中、ふと、猫の王さまの耳に、微かに歌が届きました。

　月と星々に見守られ
　真っ赤な花が空に咲く
　誰かとわからぬ猫達の為に
　赤い花達は夜空に彩を添える

　猫の王さまは、じっと耳を傾けます。
　徒然に歌われたものの為、魔法の歌ではないけれども、その声の主には心当たりがありました。

　月と星々に見守られ
　真っ青な花が空に咲く
　誰かとわからぬ犬達の為に
　青い花達は夜空に光を灯す

　微かに届く程度の為、聞き取れないカボチャもいたかも知れません。しかし、猫の王さまは確かにその歌声を耳にたのです。

「王さま？」
「すまん、少し席を外してくる」
　飴細工を食べ終えた猫の王さまは、それだけ言うとそのまま姿を消してしまいました。