【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！｜リアクション

【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ！！

　　【花火！】

「うわ、綺麗ーっ」
　花火の特等席は既にすし詰め状態。始まった花火大会を少し離れた所から、羽生碧南は衝撃と共に、三宅葉月はその夜にも、映える透き通った翠の瞳でじっと眺めていました。
　地面から吹き上がる光と、上から綺麗な華のように開いた花火に、碧南は思わず感嘆のため息を溢します。
「わぁ……綺麗！　ねぇ凄く綺麗だよ！」
「今……これも、目に焼き付けているから……」
　葉月は碧南の方も見ずに言いました。彼女にとってもカボチャが集まる異世界で、これも含めた今まで全てを意識の全てに刻むべくただひたすらに集中していたのです。
「ごめん……」
「……。でも、綺麗ね……」
「──！　うんっ！」

　大天使天吏は花火を１人で見るつもりでした。
　カボチャ混みよりかなりの遠くの、静かなところに腰を下ろします。
　そこは、見所よりもかなり遠くて見え辛くて。それでも、花火の音や光で雰囲気は十分に味わえました。
「天吏殿、見つけました！　飲み物を持ってきました！　一緒に飲みましょう！」
「い……カボチャさん」
　掛けられた言葉に天吏はふと我に返ります。
　天吏がお礼を言われた時、屋台は片付けを始めていました。様子を見る限り、それが終わってから、匂いを頼りに天吏を探してきた様子です。
　言葉にならない思いを胸にしながら、ふと思った事を呟きました。
「……そういえばなんで祭を開くようになったのかしら」
「殆どのいぬねこは、人の真似をしたからと言うのですが、実は『いぬとねこの中立共存を目指す会』が、この場所を手に入れたときが今日、偶然ハロウィンだったと聞いた事があります！」
「……ああ、ハロウィン」
　普段の生活に祭が無縁な天吏にとって、ハロウィンという単語自体が今の今まで忘れていた事もあり、それを聞いてやっと納得した様子で頷きました。

「い……カボチャさん。
　……私がきょうしたこと、邪魔になっていませんでしたか……？」
　恐る恐る尋ねた言葉に、カボチャの向こうで幸せそうな声が聞こえました。
「とても助かりました！　ありがとうございます！」
「そんな……ことは、ないです」

　──天吏は今、自分の胸が畏れ多さと合わせて、幸せで一杯になるのを感じていました。

　見所となっている丘の上付近は既にカボチャで一杯。到着した神野マキナと十朱此方は、丘から少し離れた所に座りました。
　始まった花火は実に華やかです。しばらく、それを眺めた後、お互いが沈黙している事に気がついて、マキナは声を掛けました。
「十朱さんは花火は好き？」
　きらきらと光が落ちる花火を見てから、此方は小さな声で答えました。
「昔……、一緒に、こうして見てたの……」
　ぽつりと、雨のように落ちた小さな声。そして、ぺそりと垂れ下がった尻尾を見て、
「そっか……」
　マキナはそれだけ呟いて、納得したように此方の隣で花火を見続けました。

「……花火だけなら、寝子島でもまた見られるよ。その時はまた一緒に見ようか？　ぼくで良ければだけれども」
　花火に照らされた相手の笑顔が、とても優しくて大らかで。こんな素敵な相手と一緒にいるのに、と申し訳なく思いながら、此方は慌てて言葉を探しました。
「う、うん……！　もちろん……！
　あ、あのっ……今日は一緒にお祭回ってくれてありがとう。楽しかった」
「こちらこそ、十朱さんと一緒で楽しかったよ。ありがとう」

　そう笑顔で答えたマキナに此方は、是非人の時のマキナにも会ってみたいと、そう強く深く思ったのでした。