●桐島先生といっしょ（えろい本編）●


【部室棟１Ｆ】

　学生支援部の部室を掃除しているうちに、３歳児の姿になってしまったのは浅山 小淋。
　先輩の木斗 菫と合流した小淋は、この部室棟でまず、クラス担任の桐島先生を探すことにした。
『まずは情ほうですね。この異変についてささいな事でもいいから聞いておきましょう』
　ぺらりと筆談用のメモ帳を見せる小淋に、４歳児になった菫もウンとうなずく。
「私も一緒に手伝います。少しでも犯人に繋がる情報が聞ければいいでちゅけど……」
　２人ともまだ、元の高校生の記憶と理性は保っているけれど、小淋の筆談は書けない漢字が増えてくるし、時間経過につれて菫の語尾も、だんだん怪しくなってくる。
　また、小淋は未来を予知するろっこん、【神様の手帳】も使えるかどうか試してはみたのだったが、こちらもミミズがのたくったような文字しか書けず、何が書いてあるのかさっぱり判読できなかった。ろっこん弱体化の影響なのだろう。
『それに、どうやら哀坂さんたちの呼びかけも、失ぱいしてしまったようですね……』
　哀坂 零葉から来た短いメールを、菫先輩にも見せる小淋。
「あら、ナタを持った男の子に追われている……のでちゅか？」
　放送後は、小淋たちと合流する予定の哀坂兄妹だったのだが、もはやそれどころではない状況のようだ。
「色々と大変なことになってまちゅね……」
　これは、菫たちにもまったく予想外のことだったのだが、今回の騒ぎの影響で、封印していた子供時代のトラウマを、うっかり掘り起こしてしまった生徒が少なからずいるらしい。その子供たちがさらに輪を掛けて、この騒動を大きくしているみたいなのだ。
『学校全土で影きょうが出ているようですし、いっこくも早くこのろっこんのぼう走を止めないと……！』
　さて、あせる小淋たちの捜す桐島先生は、いったいどこにいるのだろう？


【部室棟・陸上部部室】

「桐島めっけ！　何読んでんねん？」
　ばーーん、と陸上部の部室を開けた難波 辰は、あっさりそこに（幼児化した）桐島先生を見つけた。
「だだだ、だれでしゅか！　入るときはのっくしなちゃーい！」
　野球部の顧問なのだから、野球部の部室あたりに出没しそうなものだが、しかし同じエロガキである難波の嗅覚はごまかせない。お宝がある部室はそう、ココだった。
　傾向・サイズ別に切り抜いていた雑誌を、あわてて隠そうとするチビメガネから、すかさずその本を高々と取り上げ、
「なんやえろい本みっけー！　ひとりじめはずるいで、俺にも見せろー！」
　と並んで座り、難波もエロ本をめくり出した。
「何読んでんねん？　おっぱい？　桐島すけべやなー！」
　マイ教え子からうりうりと脇腹を小突かれ、むー……とそっぽを向いてうつむく桐島先生。だが、隠そうとしても、切り抜いた箇所で歴然と好みが分かってしまう。このチビメガネ、特にバブリーなおっぱいにご執心なようだ。
「おー俺もな、こんなむちむちぷりんぼんきゅっぼんのねーちゃん、こないだ見たで。
　俺な、コドモだから銭湯行ったら女湯入れんねん！
　ガン見しとったらおかんにどつかれてたんこぶこさえてもたわー、はははは」
　鼻のバンソコを指でこすって、やんちゃにそう笑いとばす難波に、
「ち、ちがうでしゅー。ボクもう４ちゃい、おにーちゃんでしゅからねっ。
　もう赤ちゃんじゃないのでしゅ？　おっぱいなんて卒業したのでしゅ！」
　耳まで赤くして、おっぱい好きをなおも頑なに否定する、チビ桐島先生。
　その時だ。２人の頭上から、やけに尊大な笑い声が降ってきたのは！
「ファファファ桃色の魂を宿せし者の気配がする……その魂解き放たん……！」
「むっ、何やちゅっ」
　２人がハッと見上げれば、ロッカーの上の隙間に、ピンクのパーカー＆短パン姿の初島 優がいた。いたって言うか、いつからそこにいた。
　あと、早々に名前をバラしてしまったが、この初島、目出し穴を開けた紙袋をかぶって一応正体を隠しているので、この可哀想な子は初島であって初島でない。彼の名は……
「ファファファ……我の事は『紙袋さん』とでも呼んで貰おうかー」
　そう、『桃色破廉恥小隊』が隊員の１人、紙袋さんだ！
「ほう？　我が１年２組の担任・桐島先生はエロに興味津々……
　桐島義弘よ……女体の美に魅了されし者よ……
　しかし行動には移せない『むっつり』な者よ……
　我ら『桃色破廉恥小隊』の前隊長はこう申された。

『素顔じゃないから恥ずかしくないモン！』

　さあこれを被るのだ！」
　高らかにそう言い放ち、シュタッと紙袋さんがロッカーから跳び下りると、
「モ、モガガーー（クシャクシャ）」
　桐島先生の頭にスポッと、スーパーのビニール袋が被された！
「そして己の衝動を、熱いパトスを解放せよ！
　桐島義弘……いや、『ビニール袋さん』！」
　ばーーーーーーーーーーん！！
　チビメガネ改めビニール袋さん、ここに誕生。
　さらにそこに、『桃色破廉恥小隊』の現隊長・横嶋 下心と、メンバーであるアレハンドロ・佐助も、ばばーーんとロッカーの中から現れた！　小さいのでロッカーの中にもよく入る。
「おれ、よこしまげっしん５さい！　これからみんなですかーとめくりをするんだ！
　桐島先生くん、いやビニール袋さんもいっしょにどうだい？」
　何というストレートなお誘い。
「モガ……モ……ガ？」
「おー桐島、俺もスケベの極意伝授したるで。
　秘技☆音速スカートめくりを、このスケベ師匠が教えたる！」
　難波辰までいっしょになって、そんなことを言い出したので、もはや後戻りなどできない。
「モガーーーーーーーーーーーーーーー！」
　先生思いの教え子たちの手により、桐島先生……いやさビニール袋さんの桃色の魂が、今ここに解き放たれたのである。