寝子島３０００周年記念！｜リアクション

寝子島３０００周年記念！

　その時、轟の大喝が響き渡った！

　虚ろな目で、轟を見つめる風雲急達。

「敵は確かに多い……怖いかもしれねえ……。
　それでも、敵を見据え、拳を握り、一歩前に踏み出せ……」

　ヒーローの先輩として、轟は一言一言つぶやく。

「そして奴らに思い知らせろ……どんな悪も、決して許さない奴がいる、ってことをな！」

　轟の周りで光が揺らめき、それがゆっくり、彼のもう一つの姿を映し出す。
　――轟自作の、寝子島ローカルヒーロー候補……。

「ザ……ザ・ストレイト……」
　そうつぶやくのは、敵方のもれいび。
「まさか、伝説のヒーローが……」

　この多元宇宙においては、現寝子島の歴史は半ば伝説のかなたと化している。
　寝子島ローカルヒーロー候補、ザ・ストレイトの伝説は時を超えていろいろに潤色されたりして、いつの間にか「伝説のヒーロー」となっていた。

　寝子島を救った。
　地球を救った。
　宇宙を救った。

　正義を愛する者には希望の光となり、悪には恐怖の代名詞となり、「ザ・ストレイト」はその姿とともに、語り継がれていた。
「ま、まさか……」慌てふためく情報屋。「本当に、過去から来たのか……」
「どれだけ時が経とうが、ヒーローは不滅だ！」叫ぶ轟は、ろっこん発動がなくても、もはやザ・ストレイトに同じ！

「く、くそ！　いけ、もれいびども！」敵のリーダーの指示に、しかしもれいびは恐怖をあらわにしたまま動かない。
（「ザ・ストレイト」ってことは……）
（ろっこんも……使うのか？）

　解説が必要だろう。
『裏』により統制され、兵器として使用されたろっこんは、現代のものより著しく衰微していた。
　たかだか弾を一発撃つ程度で、大きな反動を受ける。
　一瞬にして着装可能、身体能力の大幅増加が可能なろっこんなど、彼らの想像の埒外。
　伝説にしかない、祝福されしろっこん。それらは存在だけで、彼らの恐怖の的となるのだ。　

　ろっこん。正体不明の怪奇現象。
　未来世界で、統制下におかれたその力が、現代とくらべ弱まっていることに、いかなる連関も見いだせない。
　しかし、これだけは言える。
　平和を愛し、寝子島を愛する轟のろっこんのきらめきは、他の者の持ちえない、唯一無二の力であるのだ！

　そこをたまたま通りがかったのは、加速を発動中の刀。
　ちょっと急ぎの用があり、ろっこんを使ってのショートカットである。
「やあ、御剣。急ぎか？」
「ちょっとな」
　何気ないこの会話に、もれいび達に衝撃が走る！
（無制限の加速が使用できるもれいび！）
（それと、ザ・ストレイトが知り合いだと！）

　そこをたまたま通りがかる修。
　出っ張りが危ないので『分解」で除去。
「やあ、八神。元気か？」
「風雲児、元気そうだな」

　もれいび達は阿鼻叫喚である。

「えーと、ここはどこらへんだろう、にゃーくん」
「別の多元宇宙だな」
　都合よく時空転移を果たした桜庭円とにゃーくんを、息もできぬ驚愕で迎える敵。
　にゃーくんと言えば、猫族の権利を保障した、猫界のリンカーンとでもいうべき猫。
　その飼い主は、寝子島書房の創始者の知人。武芸万般に秀でるという。

　虚空を割って現れるのは志波武道！
「ＨＡＨＡＨＡ！　幽霊って個体差あるっぽくってさー！
　俺あまり高く飛べないんだよねー！」
　どこか３０００年前よりも暗い影を帯びつつ、それでも快活に笑う。
　
「いったい、どれほど仲間がいるんだ……」
「うーん」修は首をかしげる。状況から考えると……。
「結構いるんじゃないかな」
「何ィィィィ！！！」

　たった一人で、想像を絶する能力を持つろっこん使い。
　それがこうも、あとからあとから現れるとは！
　完全に戦意を喪失する『裏』の一団。

「行くぞ皆！」敢然と、轟が言い放つ。ろっこんの光輝をまとい……いや、ろっこんの力など借りずとも、十分眩い光のエナジーで、時を超えたヒーローは、吠える！
「ここからが、俺たちの反撃の時！　勝負は――これからだ！」

　かくして、この多元宇宙での『裏』は崩壊した。
　ザ・ストレイトこと風雲児轟、その子孫たち、そして何もしなかった通りがかりのもれいびの力で、平和は守られたのだ。
　風雲急たちと、轟がその後、どのような会話を交わしたのか、記した書物はない。
　気づいたときには、轟の姿はなかったという説もある。
　どこへ消えたのか……その問いに、誰かがこう答えた、という。

　たぶん、どこかの多元宇宙で、正義のために戦い続けているのだろう。

このページにイラストを設定する

寝子島３０００周年記念！

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧