寝子島３０００周年記念！｜リアクション

寝子島３０００周年記念！

＜風雲児轟の未来＞
　広告船がプラズマディスプレイの光を、高層ビル群に投げかける。
　虚ろなデジタルフィギュアの笑顔が、一瞬、漆黒の寝子島を彩り、すぐ闇に溶ける。
　そんな街角の間を、巧みに抜ける一群。
　彼らの先導に従うのは、風雲児轟である。
（旧市街が、えらい発展してるな……）
　すっかり未来都市と化した寝子島。
　だが、それを支配しようとしている、『裏』がいるらしい……。

　神秘の力『ろっこん』は、世間に知られることは少ない。それは未来世界でも変わらない。
　だが、『裏』では常識であり、よからぬ目的で、ろっこんをねらい島にやってくる奴もいるらしい。
　島以外では、ろっこんの使用は不可能だが、それがかえって、寝子島の平穏を脅かしていた。
　かくして、未来の寝子島では『裏』と、その抵抗者たちの果てなき闘争が続いていたのだ。

「未来だろうが、島を脅かす奴らは許さん！」
　時間の混戦の中でも正義のため戦いを繰り広げていた轟。
　話を聞き、即座に心を決める。
「『裏』の連中が、大規模なテロを画策しているらしいんです。それを阻止するため……力を貸してほしい！」
　抵抗者たちのリーダーは、そういって轟に頭を下げる。
　力強く頷く轟。「ここは、俺の守るべき寝子島だ。未来であっても！」

　情報通の男が、轟たちを導く。
「あいつは信頼できますよ」そう、リーダーが轟につぶやく。
　その瞳の色は、轟に同じ。彼こそ、轟の子孫『風雲児風雲急』である。
　自分に似たヒーローの資質を、彼に感じつつも、轟は風雲急の「若さ」が気にかかる。
　路地を抜けて、廃ビルの一角に……。
「どうしたんだ……誰もいないぞ……」呟く風雲急。
　その時、カッとライトが照らされる！
『裏』のもれいび達が、二重三重に彼らを囲んでいた。
「罠か……」ぎりりと唇をかむ轟。
「過去からの助っ人というから、どれほどの者かと思えば……」
　にやついて歩み去る情報屋を、にらみつける風雲急。

　しかし、状況は圧倒的に不利。
　若き抵抗者たちは、見る間に戦意を喪失していく。
「こ、ここまでか……」無念の歯ぎしりをする風雲急……。