寝子島３０００周年記念！｜リアクション

寝子島３０００周年記念！

＜普堂しおりの未来＞
　朝の光が、寝子島を照らしあげる。
　今日は入学式！
　普堂しおりはぱっちり目を開け、ベッドから跳ね起きる。
「学校生活楽しみ～！」

　制服に袖を通し、まだ隙間の多い鞄をつかんで駆け出す。
　彼方の海がキラキラ輝く。さっそうと走り出すしおり。

　ここは旧寝子島。
　地殻変動によって形はすっかり猫型。体部分には多元宇宙センターが、さまざま多元宇宙を統御して、時空の滞留に巻き込まれたものを適切な時間に戻す。
　高度情報集積地帯となった寝子島も、横顔部分の旧寝子島は時空文化保護特区として、往時の面影を残している。

「サンマさん生誕三千年祭」の掲示が、電柱に張り巡らされる。
　気候は安定して温和、３０００年前のそれと変わらず。
　町長はリッカルド……何世かは不明だが、なぜか初代の彼と、外見は全く変わっていない。

　寝子高への道を走り抜け、しおりは学校を目指す。
　このところ、しおりは何度も夢に見る光景があった。
　アホ毛……落神……三千年前の人々。
　時空文化庁から、寝子高の入学案内を見て、その記憶は徐々によみがえる。

　校舎前に広がる、バイオ管理された桜並木。
　その只中に。

　――いた。

（お久しぶり）

（私のこと、忘れてなかった？）