【ハロウィン】始まりは、キラーカボチャゴロゴロハッピー！｜リアクション

【ハロウィン】始まりは、キラーカボチャゴロゴロハッピー！

「お、にゃーくん発見！　なぁにそれー？」
　桜庭円の足元へすり寄るにゃーくんはハロウィンマントを身に付けている。
「可愛い、似合ってる！　って、誰に貰ったの！？」
「にゃ〜」
「ちゃんとお礼言わないとね！」
「にゃあ」
　にゃーくんは建物と建物の間をするすると入っていってしまう。
「おーい、案内するなら人間が通れるとこにしてー」
　迂回手段を探す。
「カボチャが出没した場所もこの辺だったはずなんだけど……」

　円と同じようにして、御剣刀もカボチャ撃退にシーサイドタウンへ出ていた。
「見つけたぜ」
　ハングリー精神旺盛な刀。フツウを脅かす存在を退治することに加え、知らない敵と戦うこと、さらに腹ごしらえもできる両得さに惹かれて、転がって来るカボチャに立ち向かう。
「倒したら料理して食ってやる！」
　木刀を水平に構え、間合いをとる。
「はっ」
　息を吐くと無駄な力のない跳躍、横からの一太刀。カボチャの進行方向に交差する形で木刀を叩き入れることで方向転換を促した。
「よし」
　思惑通り、カボチャは建物の壁に激突する。
「さて、あとはどうやって調理してやるかな」
　と木刀を下ろし近づいたところで何かが刀の腹を打った。
「いてぇーっ！？　この野郎、何だこれ？」
　連続で打ち出されるそれを木刀で受け流す。
「カボチャ、なのか（もしかして食べられるんじゃないか）」
　動いてお腹もいい感じに空いてきた。一粒拾い、口に入れようとしたそのとき。
「ん」
　刀の横を猫が通る。
「あれ、にゃーくん」
　確かにそれは、円の飼っているにゃーくんだ。しかしちょっと衣装がいつもと違う。
「おい、危ないぞ」
　と声をかけたときには、もうにゃーくんはカボチャの口に向かって飛び込んでいた。
「にゃ、にゃーくん！」

「にゃーくん、どこ！？」
　刀の叫びを聞きつけ円が駆けつける。
「今にゃーくんって言ったよね？　って、カボチャいたー！　でかー！」
「お、おう桜庭。今にゃーくんがそのカボチャの口に……」
「あ、いた！」
　カボチャに食べられたはずのにゃーくんが建物の影から姿を現す。
「あれ？」
「また衣装もらったんだ！　可愛いなー、くれた人にちゃんとお礼言ったの？」
　今度はカボチャの被り物を付けている。
「どういうことだこりゃ？」
　首を傾げる刀、気配を感じる。沈黙していたカボチャが再び転がり出そうとしている。
「2人とも下がれ……なんか美味しそうなの飛ばしてくるから」
「美味しそうなもの？」
「ああ、あとでおやつにするつもりなんだけど、ってにゃーくん！」
　またも果敢ににゃーくんはカボチャへ突貫だ。
「にゃ、にゃーくん！」
「おい、桜庭まで！」
「こらーにゃーくんを返せ！」
　カボチャの口端をつかみ中を覗き込む。
「にゃーくんー！」
　円までカボチャの中へすっぽり収まってしまった。
「お前まで食べられるなよ！」
　発射される南瓜弾を避けながら、ちょっとろっこん「加速」も使いつつ、木刀でカボチャを叩きのめす。ものの数秒でカボチャは静かになった。
「桜庭ーにゃーくんー、どこだー？」
　カボチャの口の中に向かって呼びかけるが、中は深い闇。刀の声だけがこだまする。
「一体どうなってんだよ」
　とにかく探さないと。と思うがお腹がグーと鳴る。
「とりあえずおやつ食うか」
　回収した南瓜弾をムシャムシャ頬張る。

「ん、ここどこ！？」
　円はにゃーくんを抱きかかえた体勢で、見知らぬ街角に立っていた。
「あれ、ボクも……カボチャ魔女スタイル？」
　にゃーくんはコウモリ羽の模様付き首輪が追加されている。
「もしかしてこの衣装全部、カボチャがくれてたの？」
「にゃー」
「そうだったのかー、じゃあちゃんとお礼しないとね、よし探しに行こう！」
　カバンからお礼の品のキャンディを取り出し、魔女とカボチャ猫はまた街を疾走する。

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